入江泰吉記念奈良市写真美術館(奈良市高畑町、TEL 0742-22-9811)は7月上旬、写真集「入江泰吉の原風景 昭和の奈良大和路 昭和20年~30年代」(光村推古書院)を発売し、1カ月足らずで増刷が決まる人気ぶりを見せている。
写真集は、当時の奈良の暮らしを捉えたスナップ的に撮られた写真を中心に奈良町かいわいや、佐保・佐紀・平城宮跡かいわい、斑鳩・當麻かいわい、飛鳥の里、文化財の記録など8構成で218点を掲載。地上駅だったころの近鉄奈良駅や、蒸気機関車の並ぶ「国鉄奈良機関区」、人でにぎわう「奈良競馬場」の様子や、人々の生活をしている姿など今では見ることのできない風景のほか、東大寺・大仏殿や農村の風景やなど今でも変わらない写真も。写真にはそれぞれ同館が編集を行った説明文も付ける。
同館学芸員の説田さんは「写真家・入江泰吉を広く多くの人に知ってもらいたい。家族や親戚などに奈良を語るきっかけになれば」と話す。
仕様は240ページ、価格は2,100円。初版は5000部にもかかわらず、発売から1カ月足らずでの増刷は「珍しい」と同社担当者。全国の主要書店で販売している。