古都奈良の伝統行事「鹿の角きり」が10月6日、春日大社境内の「鹿苑(ろくえん)角きり場」で始まった。
「鹿の角きり」は、発情期を迎えて気性が荒くなった雄鹿が突き合って死傷しないように、人に危害を加えないようにと角を切り落とすもので江戸時代から続く伝統行事。
正午から安全祈願祭が営まれた後、法被にはちまき姿の勢子(せこ)約20人が真剣な面持ちで角きり場に入場。3頭の鹿を会場に追い込み、必死に逃げる鹿を赤い旗をつけた竹ざおで誘導し、ぎりぎりまで引き付けてから、角を目がけて「十字」と呼ばれる縄の張られた捕獲具を投げて捕らえると、勢子の勇壮な姿に観衆から拍手と歓声が沸いた。
徐々に縄を手繰り寄せて、数人で鹿が暴れないように押さえ込み、神官役の男性が水を飲ませて落ち着かせてからのこぎりで角を切った。
市内から初めて訪れた梁村はるのちゃん(4)は「楽しかった。角のない鹿の方がかわいい」と話していた。
今月8日まで。