「ゐざさ」の屋号で郷土料理「柿の葉ずし」などの製造販売を手掛ける「中谷本舗」(奈良市押熊町、TEL 0120-724-288)が6月1日、創業100周年を迎えた。
林業が盛んだった1921(大正10)年、吉野郡上北山村で米店として創業した同社。初代社長の中谷勘市郎さんの妻、キクエさんの作るすしが評判を呼び、郷土料理として親しまれていた柿の葉ずしを商品化した。
高度経済成長期で林業が衰退していくに伴って人口は激減。過疎化が進んだことに危機感を持った二代目社長の中谷宏さんは「村の名物を作らないとこの村は消える」と考え、1961(昭和36)年、上北山村に開通した大台ケ原ドライブウェイの中ほどに「経ヶ峰茶屋」をオープンし、大台ケ原の名物としてその地に多く自生するササの葉で包んだ「笹(ささ)ずし」の販売を始めた。
元東大寺管長の清水公照さんが当時、同茶屋を訪れた際、名物の笹ずしを大台ケ原に伝わる、ササをまとった伝説の大イノシシ「ゐざさ王」 にちなんで「ゐざさ寿司(ずし)」と命名し、屋号を「ゐざさ」とした。
県北部には田原本町に、ゐざさ田原本工場を1980(昭和55)年、設立した。直売店は現在、県内に8店舗、埼玉県に1店舗を構える。3代目社長の中谷昌紀さんは「創業100年を迎え、郷土の味を守り伝えることの責任を改めて感じている。新たな取り組みも気後れすることなくチャレンジし続けたい」と意気込む。
同社では現在、創業記念企画第1弾として、オンラインショップではロングセラー商品詰め合わせ「経ヶ峯」(1,500円)を販売している。このほか、ポイント5倍キャンペーン(6月30日まで)、各店舗では「創業祭」として記念商品「せせらぎ」(1,000円)の販売、スタンプ3倍キャンペーン、合計3,000円以上の商品購入者に蚊帳(かや)生地を使ったふきん「白雪ふきん」進呈なども行っている(6月6日まで)。