映像作家・保山(ほざん)耕一さんの作品と生演奏とのコラボレーション上映会「奈良、時の雫(しずく)」が7月6日、奈良県庁東側「奈良公園バスターミナル」(奈良市登大路町、TEL 0472-81-3151)レクチャーホールで行われる。
奈良県在住の保山耕一さんは1963(昭和38)年生まれ。フリーランステレビカメラマンとして、「情熱大陸」「THE世界遺産」などの撮影を担当したが、2013(平成25)年に直腸ガンと診断され余命宣告を受け、2015(平成27)年には肺への転移が見つかった。治療中に「奈良には365の季節がある」をテーマに奈良県各地の撮影を始め、映像作家として活動している。
保山さんは「奈良公園のシカの死が上映会開催を決意したきっかけ」と話す。死んだシカの胃袋から大量のレジ袋が出てきたことが話題になった。「この問題は行政が悪い、観光客が悪い、コンビニが悪いなどの議論ではなく、奈良の人全ての問題であり、奈良について発信している私にも責任がある」と言う。
「シカがレジ袋を食べてしまうという現状は、観光と文化が両立していないことや、奈良の歴史や文化があらゆる人にしっかりと伝わっていないことの表れではないか。奈良を撮り続けている私にできることがあるはず」とも。
第1回は「春日大社」。「私が残したい奈良」という切り口で選んだという20分の映像作品を上映し、野上朝生(ともお)さんのピアノと平岩雅子さんのソプラノの生演奏とコラボ。「映像詩」と「音」で奈良の四季をつづる。
「奈良まほろばソムリエの会」とのコラボもあり、書籍「奈良百寺巡礼」から五條市の生蓮寺(しょうれんじ)を取り上げ、同会による解説後、保山さんの映像で紹介する。高畑公紀住職とのトークも行われる。
「奈良、時の雫」はSNSでも公開しているが言葉による説明はない。「『説明』ではなく『感じてもらうこと』を目的としているから」と保山さん。「上映会では、私の思いや撮影現場で聞いた奈良で生きる人々の生の声を伝えることで、奈良への興味と理解をより深めていただければ」と話す。
開催時間は14時~15時30分。入場無料。上映会は8月以降も開催予定で、決まり次第ホームページなどで知らせる。