奈良市の目抜き通りの一つ、東向商店街の中ほどにある親愛幼稚園(奈良市登大路町、TEL 0742-23-3210)で3月6日、園庭開放が行われた。
同園は1930(昭和5)年、宣教師ミス・へスターと吉村大次郎牧師によって創設された3年保育の幼稚園。興福寺に隣接する1710坪の園庭は緑豊かで、子どもたちは四季折々の自然を感じることができる。
園庭開放は異年齢の子どもが交じり合える遊びの場。保護者の女性は「降園後の園庭開放は子どもたちが心待ちにしている時間」と話し、在園している4歳の男児は「遊びすぎて疲れてしまう」とほほ笑んだ。広い園庭を友達とつい何周も駆け回ってしまうという。
幼稚園教諭の矢野千恵さんは「園庭を一回りすると、グラウンドから小さな森のような木立を抜け、園舎、砂場、礼拝堂と回遊できる道が出来上がっている。一番多く見られる遊びは駆けっことかくれんぼ」と話す。
「子どもは行き止まりを嫌い、回遊を好むので時間の許す限り何周もしているのでは。3、4、5歳児にとって思い切り外で遊ぶ体験は必要。この時期に遊ぶことを知らずにいると、どうして遊んでいいのか分からなくなる」とも。
園庭では弁当を食べている親子の姿も見られた。1歳7カ月の男児と持参したおにぎりを食べていた女性は「園庭開放が楽しみ。園に通っている上の子も、まだ通っていない下の子も一緒に遊べるので助かっている」と話す。
「近所の公園では知らない人に気を使うが、ここはみんなが顔なじみで安心できる」「公園から道路に飛び出す心配もない安全な遊び場」など安心・安全な遊び場という声が聞かれた。
3人の子どもを持つ母親は「園庭から興福寺の三重塔(国宝)が見えるなんて、かなりぜいたく。塀があるので、さすがに鹿は入って来ないが、野鳥や子どもの好きな昆虫などの生き物に出合える庭で遊ぶ。クリスマス礼拝の時に寺の鐘の音が聞こえるのもこの場所ならでは。恵まれた環境で子育てができるのがうれしい」と感謝の言葉も。
保護者の女性は園庭のイチョウの大木を見上げて「子どもの成長は樹木の成長に似ている。木は根っこが強くしなやかに育てば枝葉は自然に広がってゆく。人間の幼児期が根っこの成長に当たるとすれば、そこから広がるのは限りない可能性を感じる」と話す。
園庭開放日はホームページなどで告知する。