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奈良・レトロ市場にコーヒー専門店 焙煎にこだわり、街の活性化に一役

宏治さんが焙煎し、裕子さんがハンドドリップを担当

宏治さんが焙煎し、裕子さんがハンドドリップを担当

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 近鉄奈良駅から南へ400メートルほど行った場所にある「椿井(つばい)市場」にコーヒー専門店「TABI Coffee Roaster」(奈良市椿井町、TEL 0742-93-6133)がオープンして1月で1年半が過ぎた。

焙煎機

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 同市場は120年続くアーケード市場で、かつては20を超える店が営業しにぎわっていたという。現在は椿井小学校側の東入り口付近で9店が営業を続けている。反対側は空きがほとんどでほの暗く、かつて営業していた店の看板が当時のまま放置されているなど、レトロでノスタルジックな空間がアニメ「境界の彼方」のモチーフとなった。

 長く新店舗が無かった市場に2年前、店を構えたいと現れたのが田引宏治(たびきひろじ)さんと妻の裕子さん夫婦。店主の宏治さんは西大寺の「珈琲館 煦露粉(くろこ)」で修業し、11年間焙煎(ばいせん)を担当した。かねて「いつかは自分の店を持ちたい」という夢があり念願の独立を決め、2017年7月、焙煎にこだわった同店をオープンした。

 宏治さんは「初めてこの市場を訪れた時、古めかしい雰囲気だが店の人が皆さん気さくで優しかった」と話す。他の多くの店は閉まり、昔のまま放置されている光景を見て「若い僕たちが新しい風を入れて何か面白い事ができないか」と思ったという。

 「奈良で生まれ育ったとはいえ、以前の興味は京都や大阪ばかりに向いていた。年を重ねるとともに、もう少し奈良を見た方がいい。知ると面白い事がいっぱいあり、可能性も大きいと気付いた」と振り返る。

 独立の際、「煦露粉」の店主が持たせてくれたという焙煎機でコーヒー豆をローストする。「少量ずつ焙煎し、効率よりも鮮度を大切に提供できるのが当店の強み。焙煎してからどれくらいたっているかでおいしさが変わるから」と宏治さん。

 「店では粉の状態で置くことはない」と言い、量り売りの豆は要望に合わせてミルでひいて提供する。その場で飲む場合も注文を受けてからミルでひきペーパードリップ。基本はテークアウトだが、店の前に小さな椅子を用意している。

 裕子さんは「市場の皆さんはいつも何かと声を掛けてくれる。優しく接してもらい感謝。市場を盛り上げるためにも、もっと焙煎所の存在を知ってほしい。コーヒーイベントなどにも積極的に出店している。将来はゆっくり飲めるスペースも作りたい」と意気込む。

 営業時間は9時30分~19時(日曜・祝日は18時まで)。

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