古都奈良の伝統行事「鹿の角きり」が10月8日、春日大社境内の鹿苑(ろくえん)角きり場で始まった。
角きりは発情期を迎えて気性が荒くなった雄鹿が、突き合って死傷しないように、人に危害を加えないように角を切り落とすもの。出血することがあっても、完成している角には神経が通っておらず痛みはないという。
正午から安全祈願祭が営まれた後、法被にはちまき姿の勢子(せこ)約20人が「よっしゃ行くで」と真剣な面持ちで角切り場に入場。2頭から3頭を会場に追い込み、猛スピードで走る鹿を赤い旗をつけた竹ざおで誘導し、ぎりぎりまで引き付けてから、「十字」と呼ばれる捕獲具を角めがけ投げて捕らえると勢子の勇壮な姿に会場は沸いた。
縄を徐々に手繰り寄せて鹿を数人で押さえ込むと、鹿に水を飲ませて落ち着かせてからのこぎりで角を切った。
初めて訪れたという千田まゆみさんと冨士谷邦子さんは「鹿を捕まえるのは大変そうだった。素晴らしいものを見させてもらった」と話していた。
開催時間は12時~15時(入場は14時30分まで)。約30分間隔で行われる。入場料は、大人=1,000円、子ども=500円。今月10日まで。