消防一筋44年-奈良市消防局長の猪岡秀夫さんが退職へ

44年の消防人生を振り返り、熱く語る奈良市消防局長の猪岡秀夫さん

44年の消防人生を振り返り、熱く語る奈良市消防局長の猪岡秀夫さん

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 奈良市消防局の猪岡秀夫局長(63)が3月末で定年退職を迎える。消防一筋44年、文化財などの防火や救命率向上に取り組んできた「たたき上げ」の局長の退職に、多くの職員や市民からは別れを惜しむ声が上がっている。

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 猪岡さんが、消防士を目指したきっかけは小学生の時、学校で発生した火災を目の当たりにしたことだった。「運動場へ避難すると校舎が燃えていた。その時、火災の怖さを知るとともに、消火活動を行う消防隊員の姿を見て感動したことが、この道を志すきっかけ」と振り返る。

 1966(昭和41)年に消防士になり、救急隊員や警防課、予防課などに配属。1986(昭和61)年には奈良市消防音楽隊が結成に携わり、初代楽長を務めた。「ならシルクロード博」での初演を目指すも、当初は譜面を読めない隊員もいたが、全員で努力を積み重ねて披露した演奏は大成功を収めた。以来、同隊は県内唯一の消防音楽隊として県内各地のイベントなどで活躍を続けている。

 2007年には消防局長に就任。同消防局の拠点すべてに救急車を配備するなど、救命率の向上などに尽力するとともに、県の消防長会会長や消防広域化協議会の幹事長なども務めてきた。

 退職の日が近づく中、「終わるという気がしない」と猪岡さん。しかし「悲しいかなこれが宿命、後生にバトンを託す。足らない部分もあるかもしれないが、精一杯やらせていただいた」と充実した表情を見せる。

 「大病もなくここまでやってこれたのは妻の支えがあったからこそ。本当に感謝している。これからは『奥さん孝行』をしないと…」と照れくさそうに笑みを浮かべた。猪岡さんは31日、「今後も防火防災を訴えていきたい」という熱い思いを胸に、制服を脱ぐ。

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