
奈良の自然食品販売店「かんとりい」(奈良市東登美ヶ丘4、TEL 0742-43-6629)が5月18日で40周年を迎えた。
1985(昭和60)年5月18日、陶器・漆器・民芸品の店として先代の増本嘉文さん・恵子さん夫婦が開いた同店。仕入れで地方を訪れた際、各地の自然食品のおいしさに感銘した先代が店に商品を置くようになった。現在は、野菜や果物、調味料や食品、菓子のほか、シャンプー、化粧品、生理用品などの生活雑貨など約3000種類をそろえる。
2代目の社長の増本晃さんは「今の日本は物にあふれ良いものを見極めることが難しくなってきている。当店では、どのような環境で生産されたかまで熟慮した商品ばかりを提供する」と話す。
妻の緑さんは「『かんとりい』の名前には『田舎の生活に戻ろう』という先代の思いが込められている。先代は社交的な人柄で商品の良さをきちんと伝え、お客さまから信頼を得た。まだなじみの少なかった自然食品を広めたことを尊敬している。今も当時のお客さまに通っていただいていて感謝している」と思いを込める。
晃さんに店を任せた嘉文さんと恵子さんは三重県賢島に移住し念願だった夫婦で畑を耕して自給自足する夢をかなえた。その後、嘉文さんは2010(平成22)年に70歳で亡くなったが、恵子さんは今では友だちと作物を交換し合い「充実した暮らしを楽しんでいる」という。
緑さんは自然食品を望んだり、体に負担がない物や食を選んだりする人が増えているのを実感しているという。同店の利用客で山添村に住む中尾泰子さんは「5年前に料理研究家の先生に、この店を教えてもらって定期的に訪れている。原材料が分かりやすいものしか置いていないので安心して買える。特に子どものお菓子はこちらを頼りにしている」と話す。
40周年を記念し、5月25日に「けいはんなプラザ」(京都府精華町)イベントホールで「40周年記念 感謝と笑顔があふれるオーガニックマルシェ」を開催する。店で取り扱う商品の生産者など約50店によるマルシェや、ハトムギ料理研究家のトークイベント、赤ちゃん発達講座、「精麻」のワークショップなども行う。
緑さんは「お客さまに支えていただいたおかげで迎えた40周年。地域に根付いた店として、お客さまの生活を支えていきたい」と話す。
営業時間は10時~19時。月曜定休。