春日大社に続く、JR奈良駅から「やすらぎの道」までの商店街・三条通ショッピングモール(奈良市下三条町2、TEL 0742‐26‐2461)は10月18日、奈良市との共催で春日表参道「SUN DAYS PARK」社会実験をスタートした。毎週日曜の歩行者天国の時間帯にオープンテラスを活用し、密を避けつつくつろげる空間を作る。
同プロジェクトは、コロナ禍で苦境に立つ飲食店を支援するため、今年6月に国による道路占用の許可基準緩和制度を利用し行う。くつろぎや憩いの場を提供することで、テークアウトの食事場所としての活用や、同商店街の集客やにぎわいづくりにつなげる。
歩道に人工芝を敷きさまざまなファニチャーを配置、誰でも自由に使うことができる。今回は、ローテーブル(3)・椅子(20)・寝転べるハンモックと座れるハンモック(計8)・くつろげるビーズソファ(11)、子どもが遊べるシャボン玉や黒板とチョークも用意した。道を広場として捉え、ただ通り抜けるだけではなく商店街を楽しみながらとどまれる空間を目指す。
この日は旭水(きょくすい)公園を中心とした東西120メートルで実施、スモールスタートし修正を重ねていく。
同商店街の両側の歩道は、歩行者の通行に必要な3.5メートルの空間をそれぞれ確保した上で、数カ所に芝生エリアを分けて設けた。運営スタッフは「まちなかだけどリビングのような居心地の良い空間を目指している」といい、「靴を脱ぐといつもとは違う視線で街の風景も楽しめる」と話す。芝生の感触を感じながら家族連れをはじめ多くの老若男女が思い思いの過ごし方でくつろいだ。
この日は天候にも恵まれ、テーブルでは店で購入したテークアウト品を味わう複数のグループの姿が見られた。橿原市から来た「いまなら。キャンペーン」で祖母と市内で滞在中という家族連れは「たまたま通りかかったが娘はチョークで黒板お絵描きに夢中、息子はハンモックに大喜びしている。自由に楽しめる仕掛けがいっぱいでありがたい」と話す。
市内に住む女性は「この企画をSNSで知り楽しそうだと思い親子で来た。10カ月の息子がハンモック初体験だが気持ち良いようでご機嫌」という。小学生の女児は「ハンモックで本を読んでみたい、また来たい」とほほ笑む。大人も入れ替わりハンモックに座ったり寝転んだり揺れを体験したりした。
三条通ショッピングモール理事長の松山和央さんは「安心安全に加えて『楽しめる商店街』を目指している。行政の若い人とのコラボは柔軟な発想と前向きな熱い思いを感じた。いろんな意見交換をしながら改善点を見つけてより良くしていく」と話し、「ここは奈良の玄関口でもあり、以前拡幅された場所を更に生かしていきたい。コロナ禍の中始まった試み、観光客はもちろん地元の方に楽しんでもらえる商店街になるようみんなで大切に育てていきたい」と思いを込める。
実施期間は、11月末までの毎週日曜。開催時間は11時~18時半。雨天予報時は開催しない場合もある。市の職員によると「12月以降も、国交省の制度の活用によって引き続き実施できる可能性がある」と話す。詳しくは同プロジェクト「春日表参道 SUN DAYS PARK」公式ツイッターなどのSNSで通知する。