複合施設「EVANS KINGDOM」(奈良市三条町、TEL 0742-25-4873)は、新型コロナ感染防止の観点から屋外広場の有用性を伝え利用してもらう取り組みを行っている。活動場所の確保に悩む会やアーティストにさまざまな提案を用意する。
シルクロードの終着駅といわれる奈良。同施設は「古代ヨーロッパと平城京をつなぐ」をコンセプトとした飲食店(バル)、物販店、屋外広場、ホールを持つ。
運営するエヴァンズプラザ代表の加藤陽香さんは「屋外イベント開催における感染防止対策の提案を行う。広場にはミニステージがあるのでアーティストや小規模の集いに活用でき、バルの飲食も楽しめる」と話し「SNS無観客ライブや、落語の新ネタ公開稽古などでも利用がある」とも。音響機器の用意もある(要相談)。
6月27日は「薔薇のジャム」などを手掛けるSpring社長の林妙子さんが「大人の夏祭り」を開催した。林さんは「会社設立を仲間で祝う会を企画する中で『新しい生活様式を取り入れたイベントのあり方』を考えた。『実践できる人こそ素敵な大人』という思いから『大人の夏祭り』のネーミングにした」とほほ笑む。
「加藤さんに相談に乗ってもらい、密にならないよう屋外開催にこだわり上限20人とした。国による『新しい生活様式』を具体的に表現したイベントを目指した」と林さん。
体温チェック・マスク・ソーシャルディスタンス・消毒・パーテーションなどを徹底し、薬理学講師でもある歯科医師による新型コロナの公衆衛生についてのミニ講座も取り入れた。ステージでのトークに用意されたパーテーションは、段ボールベッド会社の知り合いから材料を譲ってもらったものをテレビ画面風にして百均の透明ビニールクロスを自分たちで貼ったという。ユーモアがあり、林さんのアイデアと工夫が見られる。
飲食は、バル3店からそれぞれの一皿と、飲み放題(アルコール・ソフトドリンク)付きのプランを加藤さんが提案した。Bar 「SOZAI」=ピザ2種、Cafe Bar 「MOKUBA」=手作りだし巻きと枝豆、「とびきりステーキ&ガーリックシュリンプ」=ローストビーフとサラダのチケットを用意し各自、好きなタイミングで取りに行き、広場で食しステージと共に楽しんだ。
参加者は「いろんな店の味を試せたので自分で追加注文もした」「外で食べると気分が変わって楽しい」といい、加藤さんは「バルの使いやすさは屋外イベントと相性が良いようだ」と話す。
林さんは「誰もコロナに感染させないという強い意識を主催者・開催施設・参加者、それぞれの立場で協力し行動していくことが大事」と思いを込める。
加藤さんは「今回の『大人の夏祭り』は、自主的に厚生労働省のチラシを配り全員で感染防止について共有する時間を設けたり、薬理学講師のミニ講座をプログラムに入れたり、マイクなどの消毒を随時されたりして開催したことに感銘した」
「新型コロナで開催場所に困っている会や、ライブができないアーティストを応援したい。屋外広場の良さと感染防止対策を含めて相談に乗る」と話す。