水彩画展「ふり返れば90年 花咲く卒寿のふたり展」が現在、啓林堂書店奈良店(奈良市西御門町1、TEL 0742-20-8001)2階 よもやーろギャラリーで開催されている。
京都府木津川市在住の河端泰子さんと天理市在住の畑弘子さんは、共に1931(昭和6)年1月生まれ。数え年で90歳の卒寿を祝う記念として作品展を開いた。監修は「なら三原色の会」を主宰する榎森彰子さん。
赤・青・黄と白の絵の具で描く「キミ子方式」の水彩画教室「なら三原色の会」に通う最年長の2人。散歩で見つけた草花や旬の食材など、日常出会う何気ないものや季節を感じるものを描いた、約30点を展示する。
これまでさまざまな習い事をしてきたという河端さんは「とても楽しく、絵の稽古だけは20年続いている」「野の草花を摘んで食用にしていた戦争中の記憶から、摘み菜を描く時には特別な思いがある」と話す。
榎森さんは「卒寿の2人が楽しく生き生きしているのは、絵は上手に描けたら良いだけではなく、絵を介して人と話が弾むかけがえのないものと捉えているからでは」と話す。榎森さんは畑さんの娘であり、「母は、祖父母の介護が終わってから、70歳で子どもの頃から好きだったという絵の稽古を始めた」と振り返る。
畑さんの作品「いろんな所の落ち葉」は80枚ほどの葉が緻密に描かれた大作。畑さんは「昨年亡くなった主人が元気だった頃、一緒に訪れた公園や寺社、山歩きで拾った木の葉をその都度書き足してきたもので、一枚一枚の葉が主人との思い出」という。
健康の秘訣(ひけつ)は「隣の駅まで毎朝往復ウオーキング(5キロ)が習慣になっている」「教室は楽しくて子どもが『おばあちゃん、おばあちゃん』と寄ってきたり、いろんな年代の人と交流したりするのがいい」と2人はほほ笑む。
作品展を訪れた人は「90歳とは思えない力強い作品ばかりで、元気をもらえた」「細かなところまで生き生きと表現されていて絵を描くのが好きだというのが伝わってきた」と感心する声や、「若々しく、おしゃべりも楽しく、よく笑う2人からパワーをもらえる」「自分もいろんなことに挑戦していこうと勇気をもらった」「卒寿まで好きなことをやり続けたい」と人生の先輩としてリスペクトする声が聞かれた。
開催時間は9時~21時(最終日は15時まで)。入場無料。3月13日まで。
3月2日にはトークショー「元気な2人のおしゃべりトーク 花咲く90歳」が行われる。ナビゲーターは倉橋みどりさん。開催時間は11時~11時40分。参加無料。