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奈良の植村牧場、地震・台風被害受けた明治の牛舎を修復 初代の姿残す

乳牛30頭を飼育しながらの工事が続く

乳牛30頭を飼育しながらの工事が続く

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 植村牧場(奈良市般若寺町)で現在、昨年相次いだ地震と台風で被害を受けた明治時代に建てられた牛舎の修復が進められている。

周辺の様子

 1883(明治16)年創業の同牧場は、ホルスタイン30頭を飼育する街なかにある牧場。1日平均1500本の瓶詰めされた低温殺菌牛乳を奈良市一円の一般家庭に届けたり、奈良ホテルやレストランからの注文に応えたりしている。向かいには般若寺、少し足を伸ばすと東大寺や県庁などがある奈良観光エリアで、近隣に住宅が立ち並ぶ。

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 4代目牧場主の黒瀬礼子さんは「明治時代に初代が病弱で自身の健康のため、牛乳を飲みたいと乳牛を飼ったのが牧場の始まり。第二室戸台風(1961年)で牛舎が傾き一度修繕したようだが、当初からの木造瓦ぶき牛舎を大切に使ってきた」と話す。「木造の牛舎は蒸し暑い奈良の夏でも涼しく、牛にとって快適」とも。

 昨年6月18日、地震が起こった。「あの日、朝からえらく揺れた。丁度瓶詰め作業中で、消毒の済んだ瓶にひびが入って使い物にならなくなった。牛舎は無事だと思っていたが、ひどく雨漏りをするようになり、専門家に見てもらうと『これでよく今までつぶれなかったですね』という状態だった」と振り返る。

 その後、安価で工期の短い建て替えをいろいろな業者から勧められたが、「大事に受け継いできたこだわりの牛舎を、お願いだから簡単につぶすって言わないで…」と悩んだと言う。「歴代牧場主の思いを考えると明治の雰囲気を無くしたくなかった。時間と費用は掛かるが、骨組みも木造で修復することを決めた。ただ、屋根だけは瓦をやめてガルバリウム鋼板で軽くする。見た目だけでも瓦風にしたい」と意気込む。「おじいさんたちも『元の姿をよう残してくれたなぁ』と喜んでくれていると思う」とも。

 完成は3月を予定しているが、「橿原から来てくれている大工さんが宮大工くらいの技術を持った方で、すごく丁寧な仕事ぶり。しかも私の主人が一級建築士なのであれこれ口を出すので、こだわりのある作業になっていて少し遅れるかも。でも、皆が丁寧にしてくれて感謝している」と笑みを浮かべる。

 「カフェレストラン いちづ」は通常通り営業中。営業時間は9時~17時(ランチ11時~14時)。水曜定休(2月は水曜・木曜定休)。

 現在、併設の売店は冬季休業中でオープンは3月中旬~下旬を予定。それまでの間、「搾りたて牛乳で作ったソフトクリーム」などの一部商品は「カフェレストラン いちづ」で提供している。

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