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奈良の新土産「べっぴん奈良漬」、元バスガイドの主婦が開発

五十嵐さん(中央)と五十嵐さんを応援する友人。(撮影協力=東大寺門前市場)

五十嵐さん(中央)と五十嵐さんを応援する友人。(撮影協力=東大寺門前市場)

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 上質なごま油となたね油を使うラー油に浅漬けの奈良漬が入った「和風らー油 べっぴん奈良漬」が、これまで奈良漬を苦手としていた人にも受け入れられ、奈良の新土産としても注目を集めている。

和風らー油 べっぴん奈良漬

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 開発を手掛けたのは奈良市内在住の主婦・五十嵐裕希さん(39)。自作したラー油にたまたま奈良漬を入れてみたことがきっかけ。それは、生後1カ月の息子を病気で亡くし、人と話ができないほど精神的に落ち込んでいた時だった。それまで何をする気力もなかったが、なぜかラー油作りには没頭したという。ラー油に奈良漬を入れたことなど多くの偶然も重なり、「息子が商品として残りたいと思っているのでは」と思いを重ねる。

 試行錯誤を重ね、ニンニクを控え昆布ベースで和風味のラー油を作り、奈良漬も厳選したウリを使い、コリコリとした食感を楽しむことができる。ラー油は6歳になる娘の舌を辛さの基準にしていることもあり、大人が食べても舌のほんのりとした辛味が残る程度の甘口に仕上げた。

 奈良漬は先入観で苦手意識を持っている人も少なくない。試作段階で「奈良漬が嫌いな友人に試食してもらった際も『おいしい』という評価を得た」といい、先入観のない子どもや若い人は初めから喜んで食べてくれるという。

 元バスガイドの五十嵐さんは、ガイドの仕事で奈良に訪れた際に、客に土産物を薦めるのに困った経験があったことから、奈良の土産物にならないかという思いに加え、友人からの後押しもあって商品化を決意。右も左も分からない状態にもかかわらず、人と対面して話すのは得意という持ち前の行動力に加え、パッケージに印刷している鹿のイラストの制作や販売スタッフとして友人が協力してくれるなど、友人の支えで昨年8月、商品化にこぎ着けた。

 昨年10月に初めて「奈良フードフェスティバル2011」で対面販売を行い、72個を完売する日もあるなど好評を得た。昨年12月には漬物のグランプリを決める「T-1グランプリ2011」で、西日本ブロック個人の部でグランプリに。今年1月15日に東京で行われた決勝大会では個人の部で準グランプリに輝いた。

 T-1グランプリについて、「1人の力ではなく、娘や友達の応援・協力があってのこと」と感謝の思いを語る五十嵐さん。「奈良漬を、奈良の人においしいと分かってもらい親しんでもらえるように。奈良のお土産としてアピールできるものになれば」と話す。

 価格は630円。東大寺門前夢風ひろば内の「東大寺門前市場」、「なら和み館」などのほか、インターネットでも販売する。

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