入江泰吉記念奈良市写真美術館(奈良市高畑町、TEL 0742-22-9811)は10月27日、「平城遷都1300年記念入江泰吉賞」の受賞者を発表し、225点の応募作品の中から入江泰吉賞に奈良市在住の久保田秀典さん(61)の作品「東雲(しののめ)の里」が選ばれた。
写真家・入江泰吉氏の文化芸術への功績を記念し、日本文化の「美」と「心」を発信するとともに、歴史的景観を後世へ守り伝えていくことを目的に創設された同賞。昨年9月から今年8月末まで作品を募集、205人から225作品の応募があった。
久保田さんの作品は30点の組写真で、「盆地は歴史と文化の宝庫。膨大な先祖の文化を継承しながら変ぼうし続ける里の景観。いつまでも変わらずにと願いながら、変わっていくからこそ写真を撮る価値もあるのだろう。変ぼうする美しく危うい奈良の山里を大事にし後世に残したいと強く思う」のと思いを込めた作品を応募。独自の視点で長い間、撮り続けていたことなどが評価された。
奨励賞には、奈良市在住の主婦・小林伸子さんの作品で30点の組写真「奈良の風景と伝統行事~遷都1300年に寄せて~」。日本経済新聞社賞には、北葛城郡河合町在住の写真家・野本暉房さんの作品で30点の組み写真「祭火まんだら」が選ばれた。
授賞式は11月19日に同館で開かれ、翌20日からは「平城遷都1300年記念 入江泰吉賞」受賞作品展が行われる。