奈良初のJリーグ入りを目指す奈良クラブの、関西サッカーリーグ1部の試合日程が決まり、選手らは新たなステージへ向けて士気を高めている。
2008年に前身となる都南クラブから名前を変えて活動を始めた奈良クラブ。2009年は、関西サッカーリーグ2部で優勝し1部への昇格を決めた。橋垣戸光一選手が最優秀選手賞(MVP)、畑中俊逸選手が最優秀新人賞をそれぞれ受賞したほか、奈良県代表として天皇杯に出場し念願のJ1チームとの対戦を果すなど躍進を続ける。昨年11月には「Amazing Sports Lab Japan」(東京都渋谷区)の協力を得て、奈良市角振町の小西さくら通り商店街にオフィスも開設した。
そうした中、2月22日に同クラブの奈良クラブ電動車いすサッカー部門「ビクトリーロード奈良」の重松弘樹選手が亡くなるという悲しい出来事もあった。コーチ兼選手の矢部次郎さんは「奈良クラブを始める前からの付き合いで、彼らの頑張っている姿が刺激になっていた。奈良クラブとして一緒に活動していこうと決めたのは重松くんだった。サッカーが好きだった重松くんにいい報告ができるようにしたい」と故人をしのぶ。
リーグ戦に関しては、初戦で昨年準優勝の「A.S.Laranja Kyoto」と、第2戦では昨年優勝の三洋電機洲本との対戦が決まり強豪との対戦で早くも山場を迎えることから、「勝ち点を取っておきたい」と矢部さん。強豪から勝ち点を得て今期の勢いを付けたいところだ。昨年を振り返っては、「まだまだミスが多い。チャンスを決める個々の力を上げること」を課題とし、自分たちから動いてチャンスを作る攻撃的な試合運びをしていきたいという。
同クラブは現在、芝のないグランドで練習を続ける。グランドの確保や人材の確保などクラブとしての課題も多く抱えるが、県外からの選手も入団するなどしてチーム内競争も激しくなり選手の意識も変わってきているという。
2月に群馬県のアルテ高崎(JFL)から移籍した浜岡寛選手は「環境面など大変な部分もあるが、フィジカル面を高くし地域決勝大会に出たい」と意気込む。1月に長野県の松本山雅FC(JFL)からは三本菅崇選手が移籍した。浜岡寛選手は「なるべく早く上に上がりたい。地域のみなさんに愛されるチームづくりを目指していきたい」と話す。
平城遷都1300年祭のマスコットキャラークター「せんとくん」をあしらったユニホームを着る同チーム。「いいサッカーをして、見に来てくれた人に感動を与えたい。平城遷都1300年の年に奈良でサッカーの文化を作っていきたい」と矢部さん。「奈良県でできる試合も増えたので、ぜひ見に来てください」とも。
関西リーグ1部の開幕戦は4月10日、A.S.Laranja Kyotoと西京極総合運動公園補助競技場(京都市右京区)で対戦、続いてホームの開幕戦となる同18日は、三洋電機洲本と大和高原ボスコヴィラ(奈良市針町)で対戦する。