Jリーグ入りを目指し活動する奈良クラブに9月下旬、電動車いすサッカー部門の「奈良クラブVICTORY ROAD(ビクトリーロード)」が誕生した。
前身となるのは1994年に関西で2番目となる電動車いすサッカーチームとして創設された「ビクトリーロード奈良」。同クラブのコーチ兼選手矢部二郎さんのスポーツを通じて奈良を盛り上げようとする思いやスポーツを楽しんでほしいなどの思いが「ビクトリーロード奈良」の趣旨と一致したことから共に活動していくことに合意した。
ビクトリーロード奈良は、2002年と2003年に日本電動車いすサッカー選手権大会で二連覇し、同チームの重松弘昭監督、重松弘樹選手、田中雅人選手、林隆一選手が日本代表として電動車いすサッカーのワールドカップ「FIPFA ワールドカップ」にも出場を果たしている。現在小学3年生から32歳までの11人が所属。
今年9月に行われた「第11回 チャンピオンズカップ」で初めて、「せんとくん」をあしらった奈良クラブのユニホームを着て試合を行い、同29日に正式に「奈良クラブVICTORY ROAD(ビクトリーロード)」に名称を変えた。
電動車いすサッカーは重度の身体障害者でも楽しめるスポーツで、試合ではキーパーを含む1チーム4人で戦う。バスケットボールのコートを使い、幅6メートルのゴールに向け電動車いすを巧みに操り約32センチのボールをコントロールする。電動車いすのスピードは国内ルールでは時速6キロで、国際ルールでは時速10キロにもなる。
プレーでは、車いすを高速に回転させてパスやシュートを打つ。試合では激しく車いすがぶつかり合い、車いすが転倒することもある。それに伴い2次障害を引き起こす危険もあるが「車いすがないと歩けない人でも外に出てスポーツを楽しむことができ、ストレス発散にもつながる」と重松監督。人とのつながりが少なくなりがちの人でも、チームプレーなのでみんなで楽しめることも魅力の一つだという。
11日の練習では、1つのタイヤを軸に回転させる操作の練習や、パスからシュートにつなげるセットプレーの練習などを行った。選手らは、真剣な表情で練習に取り組んだ。
楽しむことが一番という重松監督は「興味があれば気軽に来てもらえれば」と話し、選手のサポートや審判などのボランティアスタッフの参加を呼びかける。練習は、磯城郡田原本町の奈良県心身障害者福祉センターや県営福祉パークで月2回、13時~17時ごろに行う。
同チームは、10月24日・25日にいしかわ総合スポーツセンター(石川県金沢市)で開催される「第15回日本電動車いすサッカー選手権大会」でアイアンポニーズFC岡山と対戦する。