奈良県立図書情報館(奈良市大安寺西)で10月26日、奈良県版レッドデータブックで絶滅寸前種に指定されている「ヒメタイコウチ」や「ニッポンバラタナゴ」などを生きたまま展示する「奈良の生きものたち」が始まった。
同展は、生物多様性の保全について考えるきっかけにと、近畿大学農学部講師の北川忠生さんや「五條のヒメタイコウチを守る会」の協力の下、昆虫の「ヒメタイコウチ」や、魚の「ニッポンバラタナゴ」など4本の水槽で6種類の生態展示を行うほか、外来生物などをパネルで紹介する。
ヒメタイコウチは、水生昆虫であるにもかかわらず水深が深いとおぼれ死に、羽があるにもかかわらず飛ぶことができないというカメムシ目タイコウチ科の昆虫で、体長は約2センチ。夜行性といわれ日中ほとんど動く姿を見ることができないが、珍しい生き物に来館者は興味深げに見入っている。
パネルでは、現在急激に増加し問題になっているアライグマも紹介。奈良県では、2000年度に初めて2頭捕獲されてから急増し、北部・中部を中心に今年の8月末ですでに500頭以上が捕獲され、少なくとも捕獲数の2倍以上のアライグマが奈良県内に生息している可能性があるという。
同展を企画した自然環境課担当者は「希少な生き物を守るため、自然環境に興味をもってもらう機会になれば」と話す。
開館時間は9時~20時。今月31日まで(29日は休館)。土曜午後には、北川さんによる解説も予定している。