奈良県立西ノ京高校(奈良市六条西)の奥田慶さん(17)が7月28日から沖縄県で開催される全国高校総合体育大「美(ちゅ)ら島沖縄総体2010」に剣道女子個人の奈良県代表の一人として出場する。剣道は、8月3日に「世紀の森体育館」(沖縄県名護市)で開会式が開かれ、4日から競技が始まる。
奥田さんは、小学校1年生の時に兄の影響で剣道を始めた。道場に週3回通い中学校では部活に所属し市の大会で3位の成績を残している。これまでに何度も剣道をやめたいと思ったこともあるという奥田さん。そんな奥田さんを支えたのは、「みんなといるのが楽しいという」部活の仲間や南健彦監督。県予選では「南先生に恩返がしたい」――そんな思いが勝利を後押しした。奥田さんは「やっているのに負けるのでは意味がない。月1回は遠征に連れて行ってくれる先生に、成績を残して恩返しがしたかった」と話す。
「剣道の楽しさは、勝ったらうれしいこと」というほどの負けん気の強さを持つ奥田さん。この日に発表のあった1学期の成績もクラスで上位につけたようだ。剣道を続ける理由に「やせたい」「太りたくない」を挙げるなど防具の面を取れば年ごろの女の子らしい一面もあり、練習のない日曜日などには「ショッピングに出かけるのが楽しみ」だという。しかし、正座して防具を付けるとその表情も一変、眼光鋭く竹刀を振るう。
同校で初めてとなる女子個人を全国大会へ導いたのは南監督。「楽して勝つ」という独特の練習方針も、「ストイックにやると(プレッシャーなどで)本番で力を発揮できない」と、20年以上続ける指導からあみ出した。南先生は「思いっ切りやってもらいたい」と奥田さんに期待を寄せる。
「県代表として恥ずかしくない試合をしたい」と意気込む奥田さん。将来の夢は「警察官になり悪い人をつかまえたい」という。