入江泰吉記念奈良市美術館(奈良市高畑町、TEL0742-22-9811)で1月4日から、写真展「入江泰吉大和路歳時記~季節を彩る伝統行事~」が開催されている。入江泰吉の伝統行事の作品だけを集めた展示は今回が始めて。
仏像写真で知られている入江泰吉だが、精力的に奈良の伝統行事を撮影していた昭和30年~40年代の作品の中から、東大寺の「お水取り」や「春日若宮おん祭」などの奈良を代表する伝統行事をはじめ、奈良県内のあらゆる行事の写真を季節ごとに分けて、四季折々の花や風景写真も織り交ぜて展示。お水取りの写真では、フラッシュを使用して撮影した貴重な写真も。
1958年に撮影された「金峯山寺蛙とび」では、カエルが休んでいる姿が写し出すなど、地域に溶け込む気さくな性格もうかがい知ることができる。
また、行事を執り行う人だけでなく見守り支える人らの姿をとらえた多くのスナップ写真も展示。独自の着眼点でとらえた奈良の伝統行事を垣間見ることができる。スナップ写真は、入江泰吉が愛用していたドイツのカメラメーカー・ライカ社のM3カメラで撮影されたもの。
会場では149点を展示し、うち58点を初めて公開する。同館学芸員の木村さんは「若い世代の人に見てもらい、今も変わらず残っている伝統行事を後世に伝え残してほしい」と話す。
開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。入場料は、一般=500円、高校生・大学生=200円、中学生以下=100円(小・中・高校生は毎週土曜無料)。月曜休館(祝日の場合は開館、翌日休館)。3月22日まで。