奈良公園が8月12日、天然記念物「奈良のシカ」と劇場版アニメ「鹿の王 ユナと約束の旅」のコラボポスターを作成した。
9月10日全国公開の同作品は、「君の名は。」「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」などの作画監督を務めてきた安藤雅司が監督を務め、2015(平成27)年に本屋大賞と日本医療小説大賞をダブル受賞した上橋菜穂子さんの小説「鹿の王」を映画化した。物語は、文化と医療・ウイルスと免疫・生態系の話などによって「他者を思うことが生み出すもの」を表現したファンタジー。声の出演は、堤真一さん、竹内涼真さん、杏さんなど。
奈良公園のシカはこれまで、「神の使い」として大切に保護され地域住民と共生してきた。県の担当者は同作品でシカが描かれることから「映画とコラボすることで、より多くの人にシカとの接し方について考えていただく機会を作り、人とシカが共生を続けていくための環境作りにつなげていきたい」と話す。
コラボポスターには、奈良公園でシカと共生するための6つの約束が書かれている。奈良公園クイックガイドホームページによると、シカの主食は植物(シバ、葉っぱ、ドングリなど)であり、園内で販売している鹿せんべいは「シカのおやつ」としてシカにとって安全に作られているという。それ以外の食べ物(菓子、パン、野菜、残飯など)を与えるとシカが病気になるおそれがあることから、「シカに『鹿せんべい』以外の食べ物を与えない」「シカとの事故の注意」「シカに不用意に近づかない」「シカに犬を近づけない」「シカに乗らない」「ゴミを捨てない」ことを、ポスターを通じ呼び掛ける。
ポスターではこのほか、ユーチューブ「奈良公園室公式チャンネル」で配信している、シカと人間との共生に関する知識を伝える「シカマナー」動画のQRコードも掲載する。動画は現在、「STOPえさやり編」「子育て編」「交通事故編」「鹿せんべいの与え方編」「犬のお散歩編」を配信している。
同ポスターは、奈良公園周辺施設をはじめ、近鉄奈良駅のデジタルサイネージでも掲出する。