奈良大学博物館(奈良市山陵町、TEL 0742-44-1251)が企画展「東大寺龍松院 筒井家所蔵拓本展-大和古寺の国宝・重要文化財-」を6月26日から開催する。
拓本は、凹凸のある造形作品や金石文などに水で湿らせた紙や布を密着させ、上から墨を打ち文字や模様を写し取るもの。かつては文化財の細部が確認できる研究資料としても活用された。
同展は、東大寺塔頭(たっちゅう)龍松院・筒井家が所蔵するコレクションを展示。飛鳥時代から平安時代に至る仏像・光背・装飾具の拓本を、前期・後期に分けて、91点(国宝26件、重要文化財51件、その他3件から採った拓本)を紹介する。これらは大正末期から昭和初期に採拓されたものと考えられている。
「法隆寺・金堂 薬師如来坐像(ざぞう)」(国宝)の光背裏面や、「東大寺法華堂 不空羂索(ふくうけんさく)観音像」(国宝)の頭頂の宝冠の化仏など、普段は目にすることが難しい部分の拓本もあるという。
同博物館担当者は「今では採拓が不可能な国宝、重要文化財の拓本が多く含まれ貴重なもの。墨一色で表される拓本には、採拓する際のタンポの打ち方や打つ面の広さによって個性があり、それ自体が一つの作品としても鑑賞できる。優れた拓本の持つ魅力にも触れていただければ」と話す。
開館時間は9時~16時30分(土曜は12時まで)。日曜・祝日定休。入館無料。前期は7月21日まで、後期は7月24日~8月31日。一部、展示替えを行う。祝日の開館や臨時休館日はホームページで告知する。