奈良市美術館(奈良市二条大路南)で10月29日、奈良市と旧月ヶ瀬村、旧都祁村の合併から10周年を迎えることを記念した企画展「奈良を観る 月ヶ瀬と都祁を巡る」が始まった。
2005年奈良市に合併した両村の歴史を写真や資料で振り返る同展。書や資料約70点と写真約60点を展示する。
梅の名所として知られる月ヶ瀬。染め物の定着材に使用する梅の実を煙でいぶした「鳥梅」を作るために江戸時代に約10万本が植えられ、頼山陽や斎藤拙堂らによってその魅力が知られるようになったという。現在はダムができ梅林と称されるが、かつては梅渓と称されていたといい、そうした梅林や村の変貌を写真で紹介。
都祁の小倉から奈良市の京終駅まで、1919(大正8)年から1952(昭和27)年まで全長約17キロの間で物資輸送を主として営業していた索道。当時は冬の厳しい寒気を利用して盛んに製造が行われていた凍り豆腐。都祁エリアでは、人口冷凍技術の普及や気候の変化、車の普及で姿を消したこの2つにスポットを当てて紹介。
大きさ約2.8メートル×約1.9メートルの索道のルート模型や、凍り豆腐の出荷用の木箱やポスターなども展示する。同館の説田さんは「半世紀前の、忘れ去られつつある歴史を思い返す、知るきっかけになれば」と話す。
開館時間は10時~17時30分。月曜休館(11月4日休館)。入場料は、一般=100円、16歳未満・高校生と奈良市在住の70歳以上、障がい者は無料。11月8日まで。