入江泰吉記念奈良市写真美術館(奈良市高畑町)が10月下旬、写真集「回顧 入江泰吉の仕事」(光村推古書院)を発売した。
1905(明治38)年11月5日に奈良市で生まれた写真家・入江泰吉。生誕110年の特別企画として発売したもの。未発表作品から代表作品まで367点を収録する。
写真家としての道を切り開くこととなる「文楽」の写真や、戦後奈良に戻った時「奈良の仏像はアメリカ軍が全て持ち帰ってしまう」とのうわさを耳にしたことが仏像を撮り始めるきっかけだったなど、初期から晩年にかけて入江泰吉の写真家としての人生を作品でたどる内容。写真家としての節目のエピソードも併せて掲載。文芸評論家・亀井勝一郎や東大寺元別当・上司海雲などとの交遊録も。
光村推古書院の大西さんは「入江先生の往年のファンでも見たことがない写真も掲載されている。年代による撮り方の違いを見比べるのも面白いのでは」と話す。
仕様は384ページ。価格は4,104円。全国主要書店、県内では啓林堂書店などのほか、アマゾンでも取り扱う。