奈良公園にある荒池が今月に入り真っ赤になり、珍しい光景に観光客や写真愛好家の注目を集めている。
奈良県奈良公園室によると7月末に水草が繁殖して池が緑色になっているのを確認し、今月に入り真っ赤に染まっているのを確認したという。水草は外来種の「アイオオアカウキクサ」とされ、もともとは緑色という水草。猛暑が続いたためか真っ赤に変色した可能性が高いという。なら燈花会(とうかえ)の会場にもなっている浮見堂のある鷺(さぎ)池については、来場者の転落の恐れもあるため、職員らが手作業で除去した。
今月4日には、テレビや新聞などで報道され、その珍しい光景が注目を集めた。翌5日には、この光景をひと目見ようと観光客や多くのカメラ愛好家らが訪れ、めったにないシャッターチャンスとカメラを向けていた。
5年ほど前から頻繁に奈良公園に写真を撮りに来るという78歳の男性は、「毎年一部が赤くなっているが、今年は雨が降らないからここまで繁殖した」と話す。夕焼けでさらに真っ赤に染まる池と、興福寺の五重塔を写真に収めようとしていたが、思うように池が夕日に照らされず肩を落としていた。
奇麗と評判は高い真っ赤に染まった荒池。水草が水面を覆ってしまっているため、中にいる生物への影響も懸念されるが、魚が浮いているようなこともなく現時点ではさほど影響はないようだ。県は荒池を管理する地元の水利組合と対策について協議しているというが、面積が広いため現状では「雨で流れるのを待つ」としている。