台風12号による水害「紀伊半島大水害」から間もなく1年がたつ8月28日、奈良県は、被災した南部エリアを支援しようと「奈良県復興ポータルサイト」を開設した。少しずつにぎわいを取り戻す街の様子を写した写真や、復旧・復興計計画の進捗(しんちょく)情報、復興マップなどを配信していく。
紀伊半島大水害は、昨年8月30日~9月4日の5日間に上北山村で2436ミリと過去にない総降水量を記録。被害をもたらした奈良県、和歌山県、三重県で崩壊した土砂量は約1億立方メートルで、その量は東京ドームの約80倍に及ぶ。そのうち奈良県は8600万立方メートルで全体の9割を占める。土砂崩れで川がふさがれた場所は県内で16カ所。五條市大塔町赤谷、野迫川村北股、十津川村長殿、十津川村栗平では、川が完全にふさがり土砂ダムを形成した。
死者14人。行方不明者10人。負傷者6人。全倒家屋49棟、半壊69棟、一部破損14棟、床上浸水13棟、床下浸水38棟の被害をもたらした。昨年9月5日のピーク時で359世帯、938人が避難。自主避難も含めて現在も179世帯、357人が避難し、108世帯、228人が仮設住宅で生活している。
「奈良県復興ポータルサイト」では、今年3月に策定した10年にわたる復旧・復興計画「奈良県紀伊半島大水害復旧・復興計画」に基づき「災害に強く、希望の持てる地域づくり」をテーマに、復旧・復興計画の進捗状況など、復旧・復興に関する情報を配信。道路や橋などの復旧状況も確認することができる。
フェイスブックを利用して掲載する「復興フォト」では、初回は県庁職員が撮影したが、今後は、被災地の役場の職員や、県内外から実際に被災地に移住して支援活動などを行っている「ふるさと復興協力隊」が地元からの目線で復興を写真で伝えていく予定。今後は、被災地で行われるイベントの情報などの充実も図っていくという。
担当者は「1年もすると人の記憶も薄れていく。奈良県南部では、今もこんなに頑張っているんだということを伝えていきたい」と話す。