今年創業60年の老舗バイク店「内藤輪業社」（奈良市三松1、TEL 0742-46-7710）3代目の内藤正孝さんが地元の盛り上げに一役買っている。

　現在47歳の内藤さんは中学生のころから長渕剛さんの大ファン。これまでにリリースされた長渕さんのCDはすべて所有するほか、髪型をまねたり、アクセサリーも「長渕さんが身につけているのと同じ物を購入する」といい、熱い情熱を長渕さんへ注ぐ。

　奈良市消防団富雄分団に所属し、消防団員としても活躍するなど地元への愛も深い。消防団員の間では内藤さんの長渕さん好きは有名で、消防の機関紙で名物消防団員として紹介されたことをきっかけに、2013年に開かれた「奈良市消防団活性化大会」への出演依頼があり歌を披露した。これが初めてのステージだった。

　「同じ物は高くて買えない…」と長渕さんをイメージした衣装を用意。ギターは長渕さんがメーンで愛用しているという限定300本販売の「Takamine」のギターを中古購入した。

　それまではギターは持っていたものの、ほとんど弾くことはできなかった。初めてのステージでは、「ガチガチに緊張した。間違えながらもやりきった」と振り返る。

　そんな内藤さんの影響もあり、高1になる娘もギターを始めた。今年7月28日に行われた地元の祭りでは、娘が所属するバンドも出演。親子共演を果たした。「いつか一緒に弾けたら」と笑顔を見せる。

　ステージでは「長渕に似ている」との声もあったが、ステージを降りると「サングラスを取ったら似てない」と観衆からの声。しかし、内藤さんは「ものまねをしようとしているわけではなく、あくまでも長渕さんを愛するがため自然と似てきた産物」と心に揺らぎはない。

　内藤さんの本業はもちろんバイク店業務。「とは言え、仕事の合間など時間の許す範囲で、地元イベントの出演依頼があれば出たい」と話す。今夏は地元神社主催のカラオケ大会にも出演が決定しているという。「イベント出演だけでなく、老人ホームなどの慰問などもやっていきたい」と意欲を見せる。

　「長渕ファン」とのうわさを聞きつけたバイク好きが遠方からメンテナンスに同店を訪れることもあるといい、長渕さんファンということで本業の集客につながるという思わぬ効果もあったという内藤さん。活躍の場は今後も増えていきそうだ。