祈りの場所「大和」-平城遷都1300年祭「祈りの回廊」スタートフォーラム

奈良県新公会堂・能楽ホールで開かれた「~祈りの回廊~奈良大和路秘宝・秘仏開帳」のスタートフォーラム

奈良県新公会堂・能楽ホールで開かれた「~祈りの回廊~奈良大和路秘宝・秘仏開帳」のスタートフォーラム

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 奈良県新公会堂の能楽ホール(奈良市春日野町)で2月11日、平城遷都1300年祭の「巡る奈良」の事業「~祈りの回廊~奈良大和路秘宝・秘仏開帳」のスタートフォーラムが行われ、奈良の6社寺から代表が訪れ座談会を開いた。当日は約500人の観衆が話しに聞き入った。神社と寺が集まり話をする機会は珍しいという。

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 祈りの回廊は、同祭に合わせて県内52の社寺が協力して、奈良の奥深しさを体感してもらうと普段あまり目にすることのない秘宝や秘仏を公開するもの。公開の時期は各社寺により異なる。

 当日は、荒井正吾奈良県知事が「奈良の宝物は奥深い。県外の人を誘っていただき、一緒に楽しんでもらえれば」とあいさつ。その後、春日大社の岡本彰夫権宮司、高鴨神社の鈴鹿義胤宮司、金峯山寺の田中利典執行長、唐招提寺の西山明彦執事、石神神宮の森正光宮司、興福寺の森谷英俊執事長が参加。奈良国立博物館の西山厚さんをコーディーネーターとして座談会が進められた。

 座談会では、金峯山寺の田中執行長が「吉野山の桜はと信仰はかかわりが深く、現在桜の立ち枯れが増えているのは、神や仏よりお金を大事にするようになった現代人への罰では」と文化と信仰とのかかわりを説き、観光客に向けて「その場の霊的な空気に触れ、自分を見つめ直す場所に」と話した。西山執事は「祈りは、願い事をするのではなく、罪を詫びるさんげから始まるのが仏教の基本」とし、「唐招提寺には1250年間守り続けてきた金堂が創建当時のまま残っている、1250年の間、奈良の人が祈り続けてきた場所を感じてもらえれば」とも。

 京都では応仁の乱の後、文化が途絶えた時期があったが、奈良の文化歴史は断絶していないのが魅力という岡本権宮司は「奈良には、生きた人間が伝承するものが残っている。目に見えない世界ではうそは通用しないので、政治や教育などが乱れている中、祈りの場所大和で精神文化を体感していただきたい」と投げ掛け、森谷執事長は「人の伝えるものが息づいているのが魅力。日本を代表する文化財が奈良に集中しているのはたまたまではなく、伝えていくという人の動きがあって今に伝わっているもの」とし、観光客へ向けては、「祈りの回廊というのは見える部分と見えない部分がある、明るく輝く裏にある自分を見つめ直すことのできる場所が奈良」と話した。

 パワースポットしても注目を集める石神神宮の森宮司は「パッと来てパッと帰るのではなく、社寺のお力をいただきながらその地にたたずみ、当時の風景を思い描いていただければ」と話した。

 世代交代などで、祭りをなくしてしまうような合理化を図ろうとする動きもあるという鈴鹿宮司は「いろんな人が来てもらうことで、合理化を図らず奈良の文化を残すことにつながるのでは。ゆっくり回って奈良を感じていただければ」と話し、最後に岡本権宮司が「祈りの国『大和』で人々が幸せになるように祈る時間を持ってもらえれば。本当の祈りを奉げていただきたい」と締めくくった。

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