アヒルの「Kちゃん」に4月24日、感謝状が贈られた。
アヒルの「Kちゃん」はコールダック種の小型のアヒルでメス。飼い主の中村美範さんと妻の弥生さんが卵から育て、親子同様に行動を共にしている。Kちゃんらは奈良町を中心に県内各地を訪れ、インスタグラム「コールダックのKちゃん」などのSNSで紹介。紹介はKちゃんがしゃべる体裁で行う。8000人以上のフォロワーがいるという。
JR京終駅(奈良市南京終町)で開かれた贈呈式では、仲川げん奈良市長がアヒルの「Kちゃん」に感謝状と好物の県産プチトマト・小松菜を贈り、奈良の魅力をSNSを通じて発信する日々の功績を称えた。好物を仲川市長の手から勢いよくついばむ食べっぷりには、参加者から驚きの声が上がった。
有志らによるお祝い会も開かれ、水を張ったビニールプールで遊ぶKちゃんを前に、地元の県立高円芸術高校コーラス部の9人が「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」「青い鳥」などを同駅の「駅ピアノ」の伴奏で歌った。県立高円高校卒業生のサックスカルテットもジャズアレンジした「ドレミの歌」「ハナミズキ」などを披露した。4月27日に4歳の誕生日を迎えるKちゃんを参加者全員で「ハッピーバースデートゥーユー」を演奏し祝う場面も見られた。
コーラス部顧問教員の福原野乃香さんは「Kちゃんが楽しんでくれているのが伝わってきて、生徒らが楽しく演奏できる活力になった」と話した。
中村さんによるとKちゃんは音楽好き。演奏中、合いの手を入れるかのように「クワッ、クワッ…」と鳴いたり気持ちよさそうに羽を口ばしでつくろったりする姿に会場は終始、笑いに包まれていた。Kちゃんに会いに来たという坂本寿美さん親子は「音楽に合わせるかのような優しい鳴き声がとてもかわいらしくて、喜んでいるように感じた」と話す。
アヒルのKちゃんがSNSで奈良町の話題を発信し始めたのは1歳のころ、今では「奈良町に行きKちゃんに出会えるとラッキー」と訪れる人もいるという。中村さんは会社員で主に休日の土曜・日曜に活動している。
Kちゃんが務めた「2020年ならまち遊歩(ゆうほ)」公式アンバサダーの同期仲間もお祝いに駆け付け「Kちゃんが行くと告知した店には、ファンや客がたくさん来ている。Kちゃんに負けないように情報発信をがんばりたい」と意気込んだ。
仲川市長は「観光PRはもちろん、市民メディアのように困り事のある店の活性化のための情報も発信し貢献してくれている。子どもたちに人気があるので今後コラボできることがあれば企画したい」と話す。
奈良市役所奈良町にぎわい課の原田勝さんは「SNSでの発信は一見華やかに見えるが、日々の地道な努力があるだろう。これからもKちゃんの活躍を見守っていきたい」と話した。
美範さんと弥生さんは「これからも奈良町を中心にいろんな所へKちゃんと出かけ、知られていない魅力をPRしたり、Kちゃんを見て笑顔になってもらえる活動に取り組んだりしたい」と話す。