奈良を中心に宿泊施設や土産物店などを展開するワールド・ヘリテイジは、運営する「なら和(なご)み館」(奈良市高畑町、TEL 0742-21-7530)1階に「地酒BAR“なら”」を4月29日グランドオープンする。
「奈良ホテル」前に立つ「なら和み館」は、コロナ禍以前はバスツアーや修学旅行生など団体客向けの食事・土産物店としてにぎわっていたが、これまでの様な集客が見込めなくなったことからコンセプトを見直し、土産物売り場を縮小させ立ち飲みブースを設置した。
自分の好みにあった奈良の酒を選べる。日本酒だけでなく、ビール・リキュール・ワインなど約60種類、東北の酒約60種類(日本酒・ビール)、地元の素材や東北のつまみを使ったさかなも用意する。気に入った酒やつまみはその場で購入できる。
同社グループ会社「東北わくわくマルシェ」の取り組み「地酒BAR“とうほく”」の経験とノウハウを生かした店。東日本大震災から2年後の2013(平成25)年にJR大阪駅前で東北の食品メーカーや飲食店を応援する復興屋台村を開いたのがきっかけで、その後全国の百貨店での催事をメインに、東北6県の地酒とアテ、「ご飯のお供」、スイーツなどをそろえ立ち飲みスタイルで人気を博したという。
約10年間この取り組みを現場で任されてきた山地淳一さんが昨年10月、館長に就任した。「立ち飲みは、お一人でも気軽に飲めるスタイル。酒やうまいものの作り手と飲み手をつなぐ橋渡し役として、きめ細かなサービス『合いの手』をうまく入れ居心地の良い場所にしたい」と思いを込める。
「これまで全国を回ってきて奈良の酒の評判に確かな手応えを感じている。奈良の日本酒蔵を巡り、作り手の話を聞き特徴をしっかりお客さんに伝えていきたい。酒選びのお手伝いならお任せください」と意気込む。
同館は以前から県の「おいしいならジビエ提供店」登録店でもあり和食のほか、ジビエ料理を得意としている。酒のアテに大峰山系や宇陀のシカジャーキーやイノシシのスモークハムを自家製で用意する。これらは和食料理人の森杉健一さんがハンターでもあり、6年前から各地で狩猟し、自ら仕留め解体し料理している。
奈良ホテルに滞在しているという札幌から来た夫婦は「昨日初めて来て、館長の対応がとても気持ちよかったので今日また来た。いろんな地域の酒の説明がとても詳しい」「今、東大寺にお参りしてきて、ホテルのディナーまでの時間、好みを見つけながらちょこっと飲めるのがいい。酒好きの人に勧めたい店」とほほ笑む。
広報担当の太田原章巨さんは「東北とのつながりを生かしながら、地元奈良の魅力を発信する側としても貢献していきたい」と話す。
奈良の地酒は、今西酒造・稲田酒造・今西清兵衛商店・千代酒造・奈良豊澤酒造・北岡本店(各6銘柄)。各蔵飲み比べセット(3種×45ミリリットル)は800円、単品ちょこっと飲み(45ミリリットル)は各300円。単品のみの提供は、油長酒造・美吉野醸造・中本酒造店(各1~5銘柄)。梅乃宿酒造・八木酒造(共にリキュールのみ)。
アテは、自家製イノシシスモークハム、自家製シカ肉ジャーキー、籠滝豆腐店 薫製豆腐、平飼い鶏のスモーク卵、アマゴ甘露煮、いぶりがっこ、焼きホタルイカ、笹(ささ)かまぼこ(ユズ入り)など。価格は各300円、3種食べ比べセット=800円。飲み食べセット(飲み比べ+食べ比べ、1,400円)、ぜいたく8種食べ比べ(1,200円)なども用意する。
営業時間は、月曜~金曜11時~20時30分(5月11日までは奈良市時短協力に伴い、20時までの営業)。土日は11時~17時まで。