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大和路の写真家・入江泰吉の幅広い交流を書物から学ぶ 旧居で講座

司馬遼太郎と入江泰吉との交友について耳を傾ける参加者

司馬遼太郎と入江泰吉との交友について耳を傾ける参加者

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 奈良市水門町にある写真家・入江泰吉(1905~1992)の旧居で2月16日、講座「入江泰吉とゆかりの人々~司馬遼太郎編~」が開かれた。

入口の様子

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 水門町は東大寺旧境内で、今も土塀や古い家が並ぶ風情ある町並みが残る。少年時代の一時期この町で暮らした入江だが、その後大阪へ移り市内で写真店を開業。文楽人形を撮影した「春の文楽」で世界移動写真展一等賞を受賞するなどドキュメンタリータッチの写真家として活躍したが、1945(昭和20)年3月の大阪大空襲で自宅兼店舗が全焼。着の身着のままで奈良へ。それからは貴重な文化財を写真に記録することを決意し仏像、風景、伝統行事、万葉の花などを半世紀以上にわたり撮り続け、「美しき奈良大和路」のイメージは入江の写真作品によって広く知られた。

 1992年1月16日、86歳で亡くなるまでここで暮らした。2000年、妻・ミツエが自宅を奈良市に寄贈し、離れの暗室や作品の構想を練った書斎、万葉の植物を育てた庭などが一般公開されている。

 「入江泰吉とゆかりの人々」はシリーズ講座で、この日は作家・司馬遼太郎編。著書「街道をゆく(24) 近江散歩、奈良散歩」の中に書かれた入江泰吉との「お水取り」での出会いの様子や長年の交友について、参加者12人が耳を傾けた。

 講師は、俳人であり旧居コーディネーターの倉橋みどりさん。「入江泰吉の作品をより深く理解する上で欠かすことができない幅広い文化人との交流について知ってもらうことを目的に、交流のあった方々が入江について書いている文章を解説付きで朗読している。写真に興味のある人以外にも、入江の素晴らしさを知っていただけるきっかけになれば」と話す。

 司馬遼太郎のファンで初めて参加した生駒市在住の男性(69)は「司馬遼太郎がここを訪れた時のことを聞けた。まるで私も彼に会えたような気分になった。著名人らとのエピソードが興味深く、入江先生の内面をよく知ることができた」と振り返る。

 神戸市から訪れた男性(64)は「展示物や多数の蔵書から、入江先生は『対象物の心を写すこと』を大切にするために歴史や文化の知識を深めて撮影されたのがよく分かる。少人数での庭や部屋を見ながらの講座は先生の息遣いを感じられてとても良かった。また参加したい」と話す。

 倉橋さんは「奈良大和路の美しさを、写真を通して、全国に、そして未来に伝えようとした入江泰吉。入江が写真にどんな思いを込めたのかを学ぶことから、奈良の魅力を考えるヒントもたくさん見つかると思う」と話す。

 今後については、「旧居でのさまざまな講座やイベントを通じ、写真家としてはもちろん、奈良をこよなく愛した入江泰吉の仕事と生涯をもっと知ってもらえるよう発信していきたい」と意気込みを見せる。

 次回開催については未定。決まり次第、市民だよりやフェイスブックなどで告知する。  

 旧居の開館時間は9時30分~17時。月曜休館(休日の場合は、一番近い平日)。入館料は一般200円、16歳未満無料ほか。

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