「なら燈花会(とうかえ)」が始まり夕方から多くの人が集まる興福寺境内で8月5日、石塔に陣取っていた鹿の中で、耳が垂れ下がった鹿が観光客の人気を集めていた。
夕日がまぶしいのか目を細める様子と耳が垂れ下がった姿が東大寺・大仏様の福耳のようにも見える。立派な角を生やし、周りの観光客にも動じる様子もなく、その貫禄もまるで大仏様のようだった。
奈良の鹿愛護会によると、耳が垂れているのは過去にけがをしたことが原因ではないかという。観光客の中には立派な角を触ろうとする人の姿も見られ、この鹿はそれにもまったく動じなかったが、角は雌を引き寄せるシンボル。現在は角の成長期で中には血液も通っている。柔らかく傷つきやすいので触らないようにと同会では注意を呼びかける。
この鹿をはじめ、興福寺東金堂正面の石碑に4頭の雄鹿が陣取っていた姿を見て「オブジェみたい」と、多くの人が一緒に記念撮影を楽しんでいた。