奈良町に活動拠点を置くパステル画家の「5*SEASON(ファイブ・シーズン)」さんが手がけたグラフィティーアートが話題を集めている。
パステル画家やデザイナーとして活動するアーティストの大八木恵子さんは、1人ユニット「5*SEASON」として活動している。
大八木さんは、デザイン関係の専門学校を卒業後、会社員を経て自身の揺るぎない自信とは裏腹に将来に対する強い不安などから前に進むことができず、引きこもり生活に陥った。30歳を目前に焦りもあり、何か動き出そうとフリーター生活を始めるも一つの仕事が長続きせず、約20もの仕事を変えながらお金を貯めて独立。27歳の時に京都市内でイラストレーターとして活動を始め、企業ポスターなどの製作を行っていた。
画材を買うお金のない生活の中で、ダンボールに絵を描くことを生み出すなど、貧乏時代の経験が今の活動にも反映され、当時を振り返り「貧乏は発明の母」と大八木さん。「引きこもりやフリーターは、バブルの絶頂の中その言葉がないころからやっていた時代の先駆者」と笑顔を見せる。
その後活動の幅を広げるため東京に移住し、アーティストの活動を続けるとともに、ライターなどの仕事を行っていたが、「奈良はみんなの故郷」と奈良の魅力的に引き寄せられるように昨年の12月に拠点を移した。
自宅兼工房は昭和の雰囲気が漂う築30年以上長屋。「奈良のことをもっと知りたい」との思いから「交流の場になればと」その2階にある3畳の部屋と階段をギャラリー「五想庵」として今年5月にオープンした。ギャラリーでは、作品約30点を常設。そのほか看板なども手がけ、小料理屋「立ち寄り処こと」の看板でトタンに描かれたグラフィティーアートは、古い町並みの奈良町とポップな絵の異色コラボで好評を得ている。
ファイブ・シーズンさんの多くの作品は風景画で、大八木さんのフィルターを通して見た風景がファンタジーに描かれている。また、鹿をモチーフにした「しくる」というオリジナルキャラも生み出して関連グッズのうちわ(700円)や、Tシャツ(1,800円から)などのグッズも製作販売する。
「まずは奈良に愛されたい」という大八木さん。「おもてなしの心で1日1日を大切に生きていれば、何か良いことがある。何が起こるかわからないこのドキドキ感を味わっていたい」とも。
ギャラリーの営業時間は、土曜・日曜・祝日の11時~18時。9月には奈良にちなんだ企画展「五想まほら」なども予定する。