近鉄奈良駅の北側に位置する「奈良きたまち」にある「旧奈良警察署鍋屋連絡所」が7月1日、「奈良市きたまち鍋屋観光案内所」(奈良市半田横町)としてリニューアルする。
奈良女子大学の正門からすぐの場所にある旧派出所。1908(明治41)年に「鍋屋巡査派出所」として設置され、1928(昭和3)年に現在の場所に移転、1965(昭和40)年に一度廃止されたが、8年後の1973(昭和48)年からは「奈良警察署鍋屋連絡所」として利用され2004年に閉鎖された。
「鍋屋の交番」として地元民からも親しまれていた建物は、一時は取り壊しの計画もあったが、地元の自治会や同大の教授、市民らが中心となり2009年4月に「鍋屋連絡所保存・活用と『奈良きたまち』のまちづくりを考える会」を発足して保存と活用を検討してきた。「奈良きたまちの観光拠点」「地域活動の場」「大学の研究・教育施設」として活用しようと、同年に「奈良市市民企画事業」に応募し採択され、市と本格的な協議を開始した。
運営は、同会と同大、奈良市。建物は、コンクリート基礎の補強や腐朽材の取り換えなどの改修を今年5月に終え、当時の姿を復元した。この工事で、建物は移築されたものではなく、1928(昭和3)年に新築された可能性が高いことが分かったという。
「駐在さん」と呼ぶガイド役は、同会の会員やボランティアスタッフが担う。2交代制で常に1人は常駐し観光パンフレットなどを配布する。観光案内所の役目だけでなく、地域住民のコミュニケーションの場や防犯拠点、展示ブースなどにも活用していくという。延べ床面積は約35.3平方メートル。
同会副会長の吉本俊男さんは「(奈良きたまちには)名所、旧跡だけでなく街の良さを見つけに来てください。案内所に来ていただければアドバイスもします」と話す。「奈良きたまち」で古本と奈良ゆかりの雑貨を販売する「フルコト」の共同経営者の1人、新井シノブさんは「遊びに来たら面白いけど、住んだらもっと面白い街」と話す。
開所時間は10時~16時。7月1日10時から開所式が開かれる。