育児用品メーカーのアップリカ・チルドレンズプロダクツは7月13日、同社の中央研究所(奈良市都祁吐山町)でチャイルドシートの着用が義務化されてから10年を記念したセミナーを開いた。
同社は、チャイルドシートの着用率は増加傾向にある一方、乳幼児の事後死率が減少していないこと受けて800人を対象に調査を行った。その結果、チャイルドシートに関する誤った認識が広まっていることがわかり、正しい理解を図るためにと企画した。
講演を行ったのは、国立保険医療科学院の生涯保険部行動科学室長の藤原武男さん。チャイルドシートの着用は10年間で微増傾向にあるも着用率は56.8%。同社の調査によると、「赤ちゃんが泣くから」「赤ちゃんが嫌がる」「同乗者が抱けば問題ない」のとの理由から、60.3%が車にチャイルドシートに子どもを乗せていないと回答し、必ずチャイルドシートを使用している人は39.7%で4割以下にとどまったと発表。
チャイルドシートの誤使用も事故死の原因に挙げられ、藤原さんは「助手席にチャイルドシートを付けるのは自殺行為」と指摘。後部座席に設置していても首が座っていない幼児にはタオルを巻いているケースが38.8%あるといい、これは車の振動などでタオルが幼児の口をふさぐことがあり「非常に危険な処置」と話し、チャイルドシートの装着方法にも誤認識があると指摘、安全に車に乗れている赤ちゃんの割合は2割以下だと結論付けた。
世界で初めて、新生児を想定した2.5キログラムのダミー人形を1億円の開発費をかけて開発し衝突実験などを行っている同社。研究によると、ベッド型とイス型は同等の安全性があるといい、乳幼児が快適に乗れるベッド型のチャイルドシートを使用することが着用率アップにつながる可能性があるとし、「チャイルドシートに乗せることが当たり前の社会を」と訴える。