自家焙煎(ばいせん)コーヒーと店内で焼き上げる高級食パンの店「天迦久(あめのかく)珈琲(コーヒー)」(奈良市中新屋町、TEL 070‐8306‐2604)が、3月1日オープンする。
オーナーの北口優衣さん(27)は「ひと手間をプラスすることを大切にしている。焙煎前には豆を洗う。高温で焙煎するので大丈夫と洗わない店が多いが、豆が輸入品のため衛生面で完全ではない」と言う。
焙煎機はドイツ焙煎機メーカーの老舗「オールドプロバット96年製」。「釜の鉄鋳物が現代のものより上質で、甘みやフレーバーが強く出るなど、世界中のロースターから高い評価を得ている。世界標準とまでいわれるこのメーカーのその時代のものでしか生み出せない味がある。素晴らしいコンディションのこの焙煎機との出合いが店を開くきっかけの一つとなった。その素晴らしさを地元から発信できることにワクワクしている」と目を輝かせる。
メニューは「WHITE」「BLACK」「FILTER」の3種類のコーヒー(以上550円)と、自家製高級食パンのトースト(300円~)。
「WHITE」は、イタリア製の伝統的なレバー式エスプレッソマシンで抽出する濃厚なエスプレッソに、スチームしたミルクを注いだもの、「食後のデザートのように飲んでいただける」という。「BLACK」と「FILTER」は名水百選に選ばれた奈良県天川村の「ごろごろ水」を使い、「とろっとして、口当たりがまろやかなコーヒーを楽しめる」。「BLACK」は同マシンを使って抽出したエスプレッソで、濃厚なコーヒーが好きな人にお薦めという。「FILTER」は、一杯ずつ昔ながらのハンドドリップで抽出したコーヒーで、「すっきり軽やかに飲んでいただける」。トーストには、奈良県産の蜂蜜や「中西ピーナッツペースト」などのトッピングを用意する。
「店名の『天迦久』は古事記に出てくる神様の名前。困難を乗り越える神様の名前をお借りして、これから訪れるであろう、いろいろな困難を乗り越えられるようにとの思いで付けた」と北口さん。
店のロゴは妖怪書家で奈良市観光大使の逢香(おうか)さんがデザインした。「神々しくて強い鹿の神様のイメージ。今はコロナ禍で一番悪い状況だけど、この先は良くしかならない、今さえ我慢できたら」と思いを込める。
英語通訳案内士の資格を持つ北口さんは、英語圏在住経験と英語講師経験を生かし、平日15時以降に英会話カフェ開講を予定している。「今後戻ってくるであろうインバウンド需要に対応できる英語力を地域の人々と一緒に身に付けていきたい」とも。
営業時間は7時~15時。不定休。席数は10席。テークアウトにも対応する。