奈良市立平城西中学校(奈良市神功2)で2月12日、バレーボールとビーチバレーボールで五輪に出場した佐伯(さいき)美香さんを招いて「オリンピック教室」が開かれた。
オリンピアン(五輪出場者)の経験を通して五輪の価値を伝え、その精神を生活にも生かしてもらおうと、日本オリンピック委員会(JOC)が全国の中学校で開いており、奈良県では初めての開催。
佐伯さんは愛媛県松山市出身で、バレーボールの選手としてアトランタ大会(1996)でスピードのあるスパイクを武器に活躍。翌年、ビーチバレーボールに転向し、シドニー大会(2000)では4位入賞を果たした。その後一度競技から離れたが復帰し、北京大会(2008)に出場した。
体育館に2年1組32人の元気なあいさつが響き渡り始まった。準備体操やボールに慣れる運動やパスを練習した後、5~6人のグループに分かれて円になり、落とさないように2分間オーバーパスやアンダーパスでパス回しをし、回数を競うゲームが行われた。
同校にバレーボール部が無いということもあり、生徒らは最初苦戦したが、目標回数をクリアするためにチームで何をすればいいか話し合いを織り交ぜ「高いパスをして次の人がつなげやすいボールを送る」「声を掛け合う」などのアイデアで徐々に回数を増やした。集中して取り組む様子が見られ、目標を達成するとチームに笑顔があふれた。
教室では映像を使うなどして、オリンピアンの経験や人生の岐路や思いを生徒たちに伝えた。エクセレンス・リスペクト・他者への敬意といったオリンピックバリュー(価値)を元に、それぞれの夢をかなえるために必要なことを当てはめ、グループワークをして発表した。
参加した女子生徒は「説明が詳しく分かりやすかった。『より良い結果を出すために、目標を設定してみては』と楽しく導いてくれた」「部活動で遠い大きな目標は考えていたが、それを達成するために近い小さな目標を立てるのが必要だと気づいた」という。
見学した保護者は「子どもたちが楽しそうに取り組んでいるのが何よりよかった。オリンピアンとの触れ合いは、これからの人生において貴重な学びになるのでは」「私たち親も佐伯さんから何か学ぶものがあるのではないかと思い見学に来た」といい、最後まで熱心に見守った。
学年副主任の尾﨑太玄(もとひろ)先生は「いろんな人との関わりやさまざまな経験を通じて、積極性や臨機応変に動ける力を身に付けてほしいと思い企画に応募した。体を思いっきり動かす場面では、普段表情が少ない生徒にも笑顔が見られ、スポーツという切り口が良かったのでは」と話す。
佐伯さんは「どの生徒も伝えたことを一生懸命聞いて行動に移したり、真剣に取り組んだりする姿勢が見られてよかった。バレーボールの経験や技術だけではなく、全力で取り組む・助け合う・協力する、といったオリンピックバリューを伝え、生涯にわたり役立つことを期待している」と笑顔を見せた。