若狭湾の魚を奈良で提供するため、福井・敦賀港まで130キロの道のりを車で週に一度仕入れに行く大和郡山のすし店「酒舟寿司」(大和郡山市上三橋町、TEL 0743-52-1529)が4月1日、春の新メニューの提供を始めた。
敦賀港に仕入れに行くようになって40年がたつ。きっかけは「敦賀に行くと『甘エビ』というおいしいエビがあるらしい。一度買いに行かないかと誘いを受けた。海が無い奈良ではまだ流通していなかったので飛ぶように売れた。これが箸袋に書いている『甘えびの店』の由来」と店主の小西淳市さんは振り返る。
「最初は甘エビだけを買いに行くつもりだったが、奈良や関西でもレアで高級といわれる魚がたくさん水揚げされ、安価で手に入ることから独自の仕入れルートをつくった。漁港の競りで仕入れるので浜値に最低限の手数料だけで余分な中間マージンが掛からない」
朝4時に奈良を出て3時間ほどで敦賀港に着き、2時間程度で仕入れ作業を済ませ、生け魚は仕入れ車の200リットルのタンクにろ過した冷海水を入れ持ち帰る。急いで戻ると昼には店へ着き休む間もなく処理を済ませる。「時間との闘いだが、おいしく提供するために続けている」と小西さんは話す。
春メニューの「さわらのたたき」(600円)は「この辺りの市場では見られない逸品。鮮度が落ちるスピードの早い魚なので、漁港から直接持ち帰るため新鮮なうちに処理でき、おろした身はツヤツヤ。軽く下味をつけバーナーで炙(あぶ)る。炙り加減が難しいが、そこは長年の勘。モチモチした食感が楽しいので、少し大き目にカットする」という。他に「さわらのたたきのにぎり」(1皿2貫、 200円)も。
「奈良で食べる越前の魚コース」(1万400円、2人より)はメインの造り盛り合わせに肉厚なアワビも付く。他に「敦賀湾の地魚にぎり5貫」(1,000円)、「敦賀湾の地魚の造り盛り合わせ」(1,800円)など。
「四季に応じた日本海の幸がある。春は魚種が増えてくるので魚好きにはいい季節。海の無い奈良で越前の上質な海の幸をリーズナブルに楽しんでもらえれば」と小西さん。
営業時間は11時30分~14時(ランチメニュー有り)、17時~22時。木曜定休。