平城宮跡・朱雀門前広場で9月5日・6日、「第5回なら奈良まつり」が開かれた。
5日には約1万3500人が来場、2日目の6日はあいにくの雨天で予定変更もあり来場者数は約2500人にとどまったが、会場は子どもたちの笑い声が響き、大盛況に終わった。主催は奈良商工会議所青年部。
5日の夜には約3分間花火も上げられ、間近で見ることのできる大迫力の打ち上げ花火が古都奈良で開かれる夏祭りに彩りを添えた。奈良市内の中心部で行われる同祭。その裏には祭りに掛ける大人たちの熱い思いがあった。
「奈良市内で花火を上げることはハードルが高い」と27年度の会長・平方貴之さん。初開催の2011年当初から打ち上げ花火の計画はあったが、当初は場所を確保できず断念していた。
夏まつりには花火が付き物、子どもらに花火を見せてあげたいと熱い思いを持った大人たちが動いた。翌2012年には対策も万全に整えて説明会などを開き、長い時間を掛けて地元へしっかりとした働き掛けで、打ち上げの許可と理解を得て第2回に打ち上げ花火を実現した。地元消防団へも自主的な要請で残り火の確認などをしてもらっているのもその一つ。
同年開催時の実行委員長・森本恵史さんは「カウントダウンをしてステージから見たが鳥肌ものだった」と振り返る。今現在、奈良市内の市街地で毎年打ち上げ花火が上がるのは実質同祭だけだ。同祭のメーンイベントは花火ではないが、5日も打ち上げ前に花火を目的に会場に多くの人が集まるなど、楽しみにしている人も多い。
森本さんは「この季節は雨が多く、空気も澄んでいてきれいに見える。こぢんまりとしているが、しっとりとした花火で夏の終わりを楽しんでもらえれば」と話す。花火の打ち上げ発数や打ち上げ場所を非公開にしているのは地元への配慮。もちろんこれまでに事故もない。
少しでも近くで花火を見ようとする人がいると、路上駐車など別の問題に発展する恐れもあるが、今年はそういったクレームもなかったといい、見る側も主催者の熱い思いに応えるように協力的している。