奈良県は、昨年10月31日から11月30日まで平城遷都1300年祭の平城宮跡会場やインターネットで募集した「平城宮跡内を通る近鉄線移設についてのアンケート」の結果をまとめた。
平城宮跡の国営公園化に向けて宮跡内を通っている近鉄奈良線の移設を検討する際に、配慮すべき点などの意見を聞こうと実施したもの。平城宮跡会場では1,070件(県内28%、県外72%)、インターネットからは118件(県内81%、県外11%、不明8%)で計1,188件の回答を得た。
「近鉄線が平城宮跡を通過していることについてどう思うか」との問いには、「車窓から平城宮跡が見えることにより、奈良らしさを感じられる」(24.4%)、「特別史跡指定前から近鉄線は通っていたので違和感は感じない」(19.1%)、「大和西大寺駅と近鉄奈良駅とを直線で結び約5分で移動できるのは便利」(13.4%)などの現状を肯定する回答が6割以上を占めた。
一方「平城宮跡に、近鉄線が存在すること自体がふさわしくない」(9.8%)、「電車が通過する景観が見苦しい」(9.2%)などの否定的な意見は3割にとどまった。
自由意見として「近鉄の架線や鉄塔など、景観を考慮したデザインに取り替えるべき」「大宮通りに地下化すべき」「大和西大寺駅の高架化を先行すべき」「時間をかけてゆっくり考えるべき」などの声も寄せられた。
「近鉄線を平城宮跡から移設する場合に、優先的に配慮すべき事項」の問いには、「地下に埋蔵する木簡などの貴重な文化財を保全すること」が24.9%で、「平城宮跡及び周辺地域における良好な景観を形成すること」(16.9%)が続いた。
県は「特に県内の方に平城宮跡内の現路線が寛容的に受け止められていることも踏まえ、国営公園整備の計画などの背景説明に加え、平城宮跡の利用や大和西大寺駅周辺を含めた平城宮跡周辺のまちづくりについて具体的な将来像の案を示し、議論していくことが必要」としている。