近畿日本鉄道は、昨年9月からリニューアルのために休館していた「大和文華館」(奈良市学園南)を10月2日にオープンすると発表した。
今年9月に創業100周年を迎える同社の創業100周年記念事業の一環で、今年開館50周年を迎える同館のリニューアル工事を昨年9月から進めていたもの。
同館は、1960(昭和35)年に開館。日本芸術院会員の建築家・吉田五十八氏が手掛けたもので、美術鑑賞にふさわしい美術館として設計され外観のなまこ壁が特徴。地下1階、地上2階。延べ床面積は2,324平方メートル。国宝4点、重要文化財31点を含む約2,000点の美術品を収蔵する。
リニューアルでは、建物の外観は残して展示ケースを最新の照明器機や高透過ガラスなどで鑑賞環境の向上を図り、グッズ販売スペースの拡大や休憩スペースの整備、トイレの移設拡充のほか、駐車場から同館への通路整備などでバリアフリー化も施す。投資総額は12億5,000万円。
オープンに合わせた展示は、「開館50周年記念名品展」として1年間行い、その第1弾は「大和文華館の日本絵画」。同館の代表的な作品で国宝の「婦女遊楽図屏風」(松浦屏風)、「寝覚物語絵巻」や、重要文化財に指定される作品17点のほか、新たに収蔵した「春秋鷹狩茸狩図屏風(しゅんじゅうたかがりきのこがりびょうぶ)」(岡田為恭筆)も初公開する。
同屏風は、1911(明治44)年に刊行された画集に掲載後、所在が不明になっていたもので、2005年に同館が開いた企画展をきっかけに再発見されたもの。サイズは、左隻・右隻ともに縦157.7センチ×横356.8センチ。