奈良の音楽シーン支えるライブハウス「ビバリーヒルズ」が35周年

35周年を迎える奈良のライブハウス「ビバリーヒルズ」代表の坂口照太郎さん

35周年を迎える奈良のライブハウス「ビバリーヒルズ」代表の坂口照太郎さん

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 近鉄奈良駅の北に位置する商店街「花芝通り」にあるライブハウス「BEVERLY HILLS(ビバリーヒルズ)」(奈良市花芝町 TEL0742-26-7444)が今年12月で35周年を迎える。

ライブでは自身も照明を担当する坂口さん

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 オープンしたのは1980(昭和55)年。1980年代~90年代にかけてのバンドブーム時期も奈良の音楽シーンをけん引、これまでに数多くの有名ミュージシャンもステージに立った。奈良の音楽レベルを高めようと20年にわたり「大仏フェスティバル」と題したアマチュアバンドの登竜門イベントも開催してきた。

 現在の代表は、2代目となる坂口照太郎さん(37)。12年前に父・照人さん(67)が病気で倒れたことを機に同店の経営を担った。初めは「今日誰のライブなのかも分からない状態」からのスタート。自分なりに店を回せるようになるまでは3年ほどかかったと振り返る。

 2010年には店内を改装し、ステージや客席を広くして楽屋も作った。現在は着席で80人。スタンディングで120人を収容できる。天井に入っている約5トンの土は、防音や耳障りな音を吸収して音が良くなる効果があるという独自のアイデア。子ども連れでも気軽に音楽を楽しんでもらいたいと、店内を禁煙して、最近は女性1人やカップルのデートに利用する人も増えている。

 現在は、プロのアコースティックライブを中心に展開。オーディションなど新人の発掘も行っているが、真っ先に見るのはその人の人間性だという。これは、ライブ当日に同店に来ないバンドや自己満足で終わってしまい客を楽しませようとしないなど、マナーの悪さやプロ意識の低い演者がいたという苦い経験からだ。

 最近はプロミュージシャンの全国ツアーなどで大阪を外して同所を選ぶ人が増えているという。ライブハウスが乱立する大阪ではイベントがかぶり客の取り合いとなるなど、事前に集客見込みが読めないことに加えて、老舗ライブハウスの長年の経験からくる信頼感もある。インターネットでライブ映像などが簡単に見ることができ、CDが売れないと言われる中、「だからこそ生を求めるようになっている」と集客も好調のようだ。

 今年に入ってからは35周年を記念したライブも数々企画。40周年、50周年に向けて「いい音楽を聴ける環境をつくっていきたい」と意気込む。若者ミュージシャンに向けては「人のライブを見ていいものを盗もうとする気持ちが大切」とも。

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