入江泰吉記念奈良市写真美術館(奈良市高畑町、TEL 0742-22-9811)で現在、東大寺二月堂で1260年以上続く法要「修二会」に焦点を当てた企画展「お水取り」が開かれている。
会場には、試別火、本行など法要の過程に分けて初公開19点を含む計107点を展示(カラー=49点、モノクロ=58点)。お水取りに特化した企画展は10年ぶりとなる。
お水取りは、二月堂の本尊十一面観世音菩薩(ぼさつ)の前で11人の練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧がざんげして人々の幸福を願う法要。入江は、お水取りを1946(昭和21)年から30年以上にわたり撮影していたことから関係者からは12人目の練行衆と呼ばれるほどだった。
今でこそ春を呼ぶ行事として全国各地から多くの参拝者が訪れるお水取り。入江が撮影を始めた当時は、あまり知られていなかった法要で、入江の写真により全国に知れ渡ったといっても過言ではないという。今では不可能なフラッシュを使った撮影も行っており、練行衆の表情までもしっかりと写真に収められている。
同館学芸員の木村さんは「練行衆の祈りの心を写真から感じ取ってもらえれば」と話す。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館(1月13日は開館、翌14日休み)。入場料は、一般=500円、高校生・大学生=200円、中学生以下=100円(小・中・高生は毎週土曜無料)。毎月第2・4土曜日は学芸員による作品解説も行う。3月16日まで。