NHK教育テレビの番組「みんなの体操」を1年間スケッチし続けた奈良市在住のアーティスト山田陽一さん（59）が5月14日から、夢キューブ（奈良市餅飯殿町）内の「藝（げい）育カフェ Sankaku（サンカク）」で個展を開く。

　奈良市生まれの山田さんは大学入学を機に上京、卒業後、フリーライターや出版などの仕事をしてきたが、2008年に高齢になった母親の面倒をみることをきっかけに奈良に戻った。早起きの母親と朝食を共にする際に流れていた「みんなの体操」を何気なく見続けるうちに次第に興味を持ち、不意にスケッチしてみようと思い立って昨年5月8日に初めて同番組を題材に描いた。

　その作品を友人などに見せたところ好評を得て「毎日描き続けてみては」とアドバイスを受け毎日描くことを決意。同10日から現在まで毎日描き続けている。山田さんは「どうしても家にいられない時などはネットカフェに出向き、それもできない時はワンセグ放送を携帯電話で見たこともあった。毎日描き続けるのは大変」と振り返る。

　日々、番組が流れるテレビを前にスケッチブック片手にソファに腰掛ける山田さん。真剣なまなざしで画面を見つめ、体操の決めポーズなどではなく動きのある一瞬の動作を脳裏に焼き付けてから描く。画材はマーカーや色鉛筆などを使い、1日の所用時間は5分から15分ほどだという。毎日描いた作品はホームページ上で文章も添えて公開している。

　個展は「体操美女」と題して、全365作品の中から60作品を選び、その中から1日に約40点を入れ替えて展示するほか、データ化した全作品をフォトフレームでも展示する。初めての個展について、山田さんは「絵を描くことの楽しさや面白さが伝われば」と話す。