奈良公園の飛火野で12月1日、奈良の冬の風物詩「鹿寄せ」が始まった。
2日は9時30分から約100人の観衆か見守る中、奈良の鹿愛護会職員の鮫島晶子さんが「今年初めて吹く」と少し緊張した様子を見せるもホルンでベートーベンの交響曲第6番「田園」の一節を奏でた。音色が奈良公園内に響き渡ると、森から1列に連なった約100頭のシカが押し寄せ観衆からは「すごい」と歓声が上がった。
集まったシカには、全国から同会に善意で届けられたドングリ約5キロが与えられたほか、観衆らは「鹿せんべい」を与えるなどシカとのふれあいを楽しんだ。
その後、主催の奈良市旅館・ホテル組合が約70人分の茶粥(ちゃがゆ)を振る舞い、観衆らは寒空の下熱々の茶粥を口にし「おいしい」と舌鼓をうっていた。
「鹿寄せ」は、1892(明治25年)年から食糧難の時に餓える鹿を保護する目的で始められたとされている。
12月14日まで。