古都奈良の伝統行事「鹿の角きり」が10月10日、奈良公園内の鹿苑角きり場で始まった。
9月から12月に発情期を迎えて気性が荒くなる雄鹿が、突き合い死傷しないように、また人に危害を与えないようにと行われるもの。
12時から安全祈願が行われた後、法被にはちまき姿の勢子(せこ)約20人が、軍手に滑り止めとして水を含ませ、真剣な面持ちで入場。2頭から3頭の鹿を会場に追いやり、時速50キロ近いスピードで逃げ回る鹿の角をめがけ「十字」や「だんぴ」と呼ばれる捕獲具を投げて捕獲すると、歓声と拍手が起こった。
捕らえた鹿を数人がかりで押さえ込み、鳥帽子(えぼし)、直垂(ひたひれ)姿の神官が、鹿に水を飲ませて落ち着かせ、のこぎりで角を切った。
三重県から初めて訪れた徳倉暢くん(11)は「迫力があった。角がなくなって鹿がかわいくなった」と話した。
入場料は、大人=1,000円、子ども=500円。今月12日まで。