秋の伝統行事「鹿の角きり」が10月10日から、奈良公園内の鹿苑角きり場で始まる。
鹿の角きりは、9月から12月に発情期を迎えて気が荒くなる角鹿が、互いに突き合って死傷しないように、人に危害を与えないようにと1671年から始まったとされる。
法被にはちまき姿の勢子(せこ)約20人が、場内に追い込まれた3頭~4頭の鹿目がけ、「十字」「だんぴ」と呼ばれる捕獲具を使い鹿の角めがけて投げて捕まえた後、暴れる鹿を静めるため、口に水を含ませてからのこぎりで角を切る。毎年、勢子の勇壮な姿を見るために全国から多くの人が訪れる。
角は大きいもので約50センチ、重さは1.5キロにもなる。角が三又に分かれた4歳以上の鹿を対象として1日に約15頭の角を切る。体調により出血することはあるものの、完成している角には神経が通っておらず痛みはないという。
奈良公園の鹿は今年7月現在で、雄196頭、雌705頭、小鹿151頭の計1,052頭。昨年より76頭少なくなり、3年連続で減少している。この1年間で死亡した鹿は357頭を数え、中でも疾病で死亡した鹿は179頭と過去最多となっている。
疾病の主な原因として、公園内に捨てられたゴミや、人間が与えた鹿せんべい以外の食べ物よる中毒が挙げられる。また、(人が)鹿をいじめたり追い掛け回したりされることによるストレスで命を失うこともあるという。
当日の開催は12時から。入場料は、大人=1,000円、子ども=500円。同12日まで。