万葉集研究の上野誠教授が監修する、万葉集について学ぶ児童書「古代の都」(ミネルヴァ書房)が2月に出版された。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため全国で休校・休園が広がる中、自宅で過ごす子どもたちに読書体験を提案したいと奈良大学文学部国文学科 上野教授が9日、メッセージを出した。
上野さんは「万葉集の時代は、決して平和な時代ではなかったが、多くの人たちが一生懸命に生きた時代だった。万葉集の『うたうた』はその生きた証だと思う。こんな時だからこそ味わって読んでみて」と話す。
絵は少女絵で知られる画業60年の花村えい子さん、編集は「こどもくらぶ」。万葉時代の人々の様子や暮らしを、前半は絵物語、後半は豊富な絵や写真・図版で紹介し、万葉集の歌の意味や背景を学ぶ。
歌がうたわれた当時の人々の暮らしぶりはどのようなものだったのか。代表的な歌に込められた当時の風景や心情に思いをはせるシリーズ第1巻。明日香から藤原京への都の移り変わる時代、貴族の文化や天香具山、明日香川をキーワードに、雄略天皇・舒明天皇・持統天皇・柿本人麻呂などがつくった歌を取り上げる。
AB判32ページ。価格は3,300円。