フォーラム「お水取りからみた奈良の歴史」が1月19日、東大寺(奈良市雑司町)二月堂参篭(さんろう)所で開催された。
古都奈良に春を呼ぶ行事といわれる「東大寺二月堂のお水取り」の由来やエピソードを東大寺の筒井寛昭長老から学ぼうと、県内外から歴史愛好家ら60人が参加した。主催は一般社団法人奈良地域デザイン研究所。
お水取りは752(天平勝宝4)年、東大寺の実忠和尚が創始した。本尊の十一面観世音菩薩(ぼさつ)にお供えする水=お香水(おこうずい)をくみ上げる儀式が行われることに由来し、お水取りと呼ばれる。
現在、法会は3月1日より2週間にわたり行われるが、元は旧暦の2月に行われたので「修二会(しゅにえ)」とも言うが、正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」。「不退の行法(ふたいのぎょうぼう)」として、戦乱や火災などの危機を乗り越えながら一度も絶えることなく、1260年を超える伝統が守られている。
フォーラムでは筒井長老が「東大寺ができる前にはいくつかの小さな寺があり、東大寺の前身寺院の金鐘寺があった。後に仏教で国を守っていくための拠点となる総国分寺として東大寺が設立された」と寺の歴史を説明した。
参加者は、お水取りの行法や過去帳にまつわる「青衣女人(しょうえのにょにん)」についての話に熱心に耳を傾けた。筒井長老は「お水取りは社会の多くの人の助けによって今日まで引き続くことができている」と話した。
筒井長老が奈良を思い作詞した「奈良におもえば」を声楽家の村内和子さんが披露し、参加者らは二月堂参篭所に響く歌声に酔いしれた。