奈良の地酒「春鹿」の蔵元、ならまちの「今西清兵衛商店」(奈良市福智院町)で9月15日、「酒蔵まつり」が開催された。
日本酒に親しんでもらいたいと企画されたこのイベントは、今年で18回目を迎えた。多くの日本酒ファンなどが集まり、限定酒の無料試飲、ワンショットグラスでの8種類の日本酒の提供、仕込み前の酒蔵の見学などが行われた。
奈良の飲食や物産の出店もあり、訪れた人たちは酒のさかなと共に銘柄ごとの香りや味わいの特徴を確かめ飲み比べた。
春鹿蔵元5代目で社長の今西清隆さんは「酒造りは酵母とこうじ菌の働きはもちろんだが『造る人の思いや飲む人の思い』という目に見えない力を感じる」と話す。開場を前に随所を最終確認し「今日は一日、飲んだり食べたりしながら春鹿を十分に楽しんでほしい」と笑顔で話した。
キッズスペースや、子どもの様子を見ながら飲めるカウンター席も用意。「さまざまな人に楽しんでもらえるように毎年社員がアイデアを出し合っている」という。
東京から来た30~50代の日本酒好き7人グループの1人は「6年連続で来ている。日本酒の魅力は食事を妨げないところ。春鹿の酒は、さっぱりしているが味がしっかりしていて上品。手分けして酒のさかなと飲み比べの酒を買い、みんなでシェアしている」と話す。「この祭りの後は観光も楽しみたい」とも。
酒蔵工場見学では酒のタンクをかき混ぜる「櫂(かい)入れ」と呼ばれる作業の疑似体験、「きき酒」全国大会優勝者による「酒レクチャー」や燗(かん)のサービス、縁起が良いとされる鏡開きのインスタグラム撮影会、酒が当たるクイズなども行われた。
蔵人(くらびと)をはじめ事務員など春鹿に関わるスタッフらが来場者をもてなしたり、蔵元自ら気軽に会話や質問に答えたりしてコミュニケーションを図っていた。